撮影現場という、視線の交差点で。
面接というのは、自分が見られているのではなく、相手を見に行っているという姿勢の人は一体どのくらいいるのだろうか?
写真の仕事はそのほとんどが「はじめまして」で始まる。打ち合わせがなく、その場で初めまして、で次の瞬間に撮影することも珍しくない。被写体だけではなくスタッフすべてと。
ただでさえ、撮影できるのか? という緊張もあるのに、その初めましてなスタッフに囲まれて胸を張って撮影できる根性というか、肝、があるかどうか、なーんてのも、実力の一つと言えるのかもしれない。でもそれはみんなに見られている、という逆ベクトルで、みんなは自分をどう見ているのか、と分析すると、その先にどういう軌道を作れば良いか察しがつく。
見られている、と同時に見ている。
自分は普遍だ、しかし、その印象は人によって異なる。怖い、厳しい、いや、優しい、その感想は人の数だけあるわけで、自意識よりも多角的な他者の考察のほうが自分を表しているといっても過言ではない。
他者の視線に映る自分
となると、この人は自分をどう見るのか? というその姿勢自体はその人の過去の蓄積によって作られるわけで、撮影にけだるそうに参加している人、積極的に参加しているひと、写真を気に入る人、そうでない人などの、背景まで透けて見えてくる。
そうなると、あとは簡単で、マーケティングに基づいてその逆を仕掛けていく、ということもありえる。では逆に言うと不用意な正直な発言をした、相手が悪いと、不意に自分の素性を安易に曝け出すことになる。それで逆探知されると、先を越される、いや、見透かされる。
しかし、それは偽ることはできない。相手が悪いと。言葉というのは、口から出したその瞬間に公共物になる。その先はもはや自分のものだけではなくなるのだ。ということで、視線や振る舞い、そして言葉、なんだったら服装や姿勢そのすべてが、自分をゲロしていることになる。
真逆のベクトルが交わる場
となると? 面接とは、会議とは、組織とは、自らが見ているのか、それとも、相手をみているのか、というまったく真逆なベクトルが強烈にぶつかる場であるということに気づくだろう。これは大した発見ではない。当たり前のこと。だから
その上で、どうする?
という問いは、その遠く向こうからやってくるのだから。
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(写真・文:鈴木心、編集:山田友佳里)