ポートレート写真は、一人では撮れないから。
鈴木心写真学校は、オンラインサロン併設型のオンラインスクール。講師の鈴木心、運営スタッフに加えてワークショップ修了生である担任が、受講生と横並びで学びを後押ししてくれます。
写うま(鈴木心の写真がうまくなっちゃうワークショップ)2期の修了生にして、4期では担任を引き受けてくださった井上亜紀子さんのレポート。受講生とともに、素晴らしい作品もつくってくださいました。
写うま4期のポートレートクラスで担任をさせていただきました、井上です。金沢でコトPhotoという写真館をしています。
担任を振り返る:教えることは教わること
ただただ並走するしかできず、頼りなくてごめんなさいー。まずは、みなさんと一緒に駆け抜けられたことに大感謝です! 一人では見ることができなかった景色を見せてもらいました。
きっとこの想いはみんな同じかと。足りないところを補い合い、刺激し合い、加速させてきたからこそ掴めたものがあると思います。人を撮るということは、これまた自分一人の力ではどうしようもできないわけで、誰かの助けを借りることになります。
途中「人をモノとして撮らない」という大きな問題にぶつかりましたが、「一人では成り立たない」が解決のキーポイントになったのかなと思います。単なる情景ポートレートじゃない、心揺さぶる、人が主題のポートレートにみんなで辿り着けたのでは!
そして「共育」。教えることは教わること。教わるばっかりでした。ありがとうございました!
作品づくりが写真館にも活きていく
担任なのに作品を作ってもいいの? と少々遠慮しながら挑んだ新津保建秀さんでしたが、気がつけば「逆光・髪きらきら・ピントずらし」(私の中での新津保さんを憑依させるための呪文)を唱え、少年少女に声をかける日々でした。
息子からは気持ち悪いと言われながらも、めげずにファミチキと唐揚げくんを餌に息子と共に陽の当たる方向へ。以前からずっと撮りたいと思っていた思春期頃の少年少女を、これを機に撮ることができて心躍りました。
赤ちゃん撮影や成人式撮りなど小学生以下、成人以上は撮る機会が多いのですが、中高生はパタっと撮る頻度が減ります。精神的にも肉体的にも成長していく姿を記録するのは、写真館でも継続したいと思っています。
思春期の気持ちに心を重ねて
コンセプト
テーマは「自立と依存」。自我をしっかりと抱きながらも、まだ守られている存在である彼ら彼女らの、戸惑い、不安定さ、儚さ、希望など、揺れ動く気持ちを可視化しました。
タイトル 『君のせいではない、僕のせいでもない』
撮影するにあたって、子どもたちに好きな曲なども聞きました。そのときの気持ちって音楽と同期していることもあるので。私の中で思春期とぴったりきたのがVaundyの曲でして、タイトルはその曲の一節になります。頭の中でVaundyの曲を流して、気怠さやもどかしさを体に溜め込んで撮影しました。
わかりやすさを超えて、恐れず表現すること
レタッチ
もーーーーーーー、今回の作品はレタッチ抜きには語れません。レタッチを心さんからレビューいただき、私はサイヤ人になれたと思っています。自分の写真なのか?というぐらいの変身ぶりでした。
手癖というかいつの間にかこうしなければいけないみたいな感覚があり、顔はしっかりと見えていなければいけないとか、明るさは標準でみたいな勝手なルールに縛られてちっちゃくなっていました。でもそうではないと知る!!めちゃくちゃ大きなポイントでした。
作品には作品の色があり、そのルールは自分で決められる。だからこそ面白いし、世界は広がるんだなと感じました。
撮影する前から撮影は始まっている
人選&撮影
新津保建秀さんの写真集『記憶』をもとに作品づくりをスタートさせたので、これに決めた時点で、現役中学生を制服で撮ろうと決めていました。「記憶」は春夏秋冬の風景と4人の女性モデルや俳優が登場し、風景と人物がクロスしていきます。
人選は慎重に何かしら「もってる」と思う子に声をかけ、風景と成長進度を重ねることを意識して組みました。中学生をしかも制服で撮ってSNSに載せちゃうので、お母様との面談はきっちりとさせていただいています。許可をとったうえで、子どもたち本人にもしっかりと内容を伝えて協力してもらいました。
撮影時にはいろんな質問をぶつけ、笑ったり真剣に考えたりを繰り返して撮りました。新津保さん視点は静と動の「静」、ハイとローならローなので、表情に幅をもたせるのに苦労しました。
また、どうやったらエロス的ポーズをせずしてドキッとさせられるかが鍵となりましたが、心さんからもらった「息をするような写真」という言葉がとてもヒントになりました。あとは風景撮りが苦手であまり撮ってこなかったのですが、風景にも表情や間合いがあるんだなと学びました。
これから写うまを受講される方へ。
千本ノックには、筋肉痛という痛みが伴いますが、それだからこその筋肉!!! 内面からも外面からも磨き上げていくことになりますから、3ヶ月楽しんでください!
井上さんの作品集
ワークショップを修めたら、また次にバトンを渡す。そんな修了生たちの積み重ねで、写うまは今まで続いています。先輩の経験も受け取ることができるから、期を重ねるごとに成熟度を増しています。
ワークショップの仲間、オンラインサロンのメンバーとのコミュニケーションが多いからこそ、コミュニケーションできる写真が撮れるんですね。
鈴木心写真学校が初参加の方は、ワークショップ終了までオンラインサロンも無料になります。たのしい仲間と、たのしい写真を。ぜひこの機会に!
(文・写真:井上亜紀子、編集:山田友佳里)
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