暮らしに根ざす仕事。赤木明登さんに学ぶ生き方
仕事の中に生活があるのではなく、
生活の中に仕事がある
みなさんは、どちらだろう?
週末のために仕事があるのか
仕事のために週末があるのか
なーんてのも似ている質問なのかもしれない。
仕事の選択は人生の選択
漆の塗師、赤木明登さんと出会ったのはもうだいぶ前のこと。中谷美紀さんと仕事で能登を回ったときに工房に伺ったのだった。その予期せぬ出会いと感動に、当時別の仕事でずっとご一緒していたNHK出版の編集長は、赤木さんのインタビューを出版したことがあると、本を一冊分けてくださった。そこに書いてあった一文が冒頭のものだ。
赤木さんは大学を出て当時花形の職業でもある、編集に携わる。しかし、その生活を投げ出し、漆職人としての道を歩み始める。その理由は、仕事で忙殺される人生をこのまま続けたくなかったから。
いま振り返ると、バブル全盛の時期に、こうやって地方に移住することを能動的に決めた若者が一定数いたのだと、取材で地方に行くたびに思う。あえて、都会でないところに暮らしたい。その背景には、お金に狂ったあの時代を冷ややかにみた視点と知性があったに違いない。
そんな背景を横目に、僕にも一定の地方移住願望がある、しかし、居を構えることは大きな荷物を持つことであり、地方で仕事をすることは、単価を上げる限界があり、認知される人口にも上限がある、ネットワークがある時代は、バブルの時代と選択肢は変化するゆえにその願望は定量であり、飽和することは、いまのところない。
訪れた先で見つけた、「生活」と「仕事」の重なり
熊本での写真館はロータリーコーヒーさんにお邪魔して開催となった。九州のサロンメンバーは頼もしい面々が集まり、撮影もワークショップも流れるように進んでいく。
写真館イベントで賑わうカフェの上には、主催である東さんご一家が暮らしている。都内では洗練されてみんな同じような面になるカフェの内装とは一方的で、寄せ集められたインテリアが、どこかその生活の雰囲気を感じる。
まだ2度目の開催だけれど、どこか実家に帰ってきたような、そんな優しい雰囲気。東さんもスタッフさんも僕たちを笑顔で見守り、ご家族、ご親族が集まり恒例行事のように写真を撮影する。
東さんとそんなにお話できなかったけれど、2日間のイベントを終え、また、来年、と、ふっと口から漏れそうになるあの、独特の空気感は、まさに
そのものだったんだろう。コーヒーや、ケーキをいただくと、思わず、親しみのある味と佇まいで、それはまるで料理上手な親族の、なーんて、すら思えてくる。肩肘張らない、その姿に、ふと、あの日の赤木さんの工房に行ったときのことを思い出した。
僕は、自分の人生での選択を迫られるときに、この一言で仕分けをするようにしている。今はまだ、仕事に支配されつつも、あのときと比べたら、だいぶ生活が大きな軸になってきている。確実な変化はいつもゆっくりなのだから。
(写真・文:鈴木心)
無料開催!カメラの使い方相談室
1/5(日)は「無料!鈴木心の写真相談室 〜良い写真への第一歩〜」を開催。「このカメラ、もっと上手に使いこなしたい!」そんなあなたのお悩みや疑問に、写真家・鈴木心が全力でお答えします。
カメラの基本操作から一歩先を行く撮影テクニック、シーンに応じた設定の考え方や使い方の裏技まで。プロの視点で徹底解説する、無料&たっぷり2時間のオフラインイベントです。
フォトグラファーを育てています。
オンラインスクール鈴木心写真学校では、「作品づくり」と「ライティング」の2本軸でワークショップを開催しています。
初心者も、経験者も自分らしい写真が見つかる|ベーシック
撮影の基本知識から美術教養も学べて、良質な写真集もたっぷり紹介。好きな写真で、何をしたいですか? そんなあなた自身の夢や目標をより実現できるお手伝いをします。
カメラが使えるなら、光も使えるようになろう|ライティング
鈴木心写真館のシンプルで実用的なライティングテクニックを3ヶ月で。人にも物にも素敵な「表情」がある。見せたいところを伝わりやすく自然に写す技術は、光と、被写体と向き合うことから始まります。
逆に、「写真は撮っているけど何をしていきたいんだろう?」「自分らしい写真や仕事ってなんだろう?」というお悩みも、ワークショップにご参加いただくことで目的がはっきりと見えてくることでしょう。
ご参加お待ちしております!
鈴木心写真館&やさしい写真教室 全国ツアー
撮られてみると撮ってみる、両方でたのしい写真体験を。写真撮影も写真教室も、通常より超お得にお試しいただけるイベントです!
(編集:山田友佳里)