日常写真を、作品にしていくには。
ちょっといろんなことに、疲れちゃったな。
それが始まりだった。
ロンドンでみたアート最前線。
そして杉本さんとの濃い時間。
そこから広島・倉橋へ一直線。
海、山、星空に囲まれて、脳みそが揺さぶられる。
なんで、こんなに頑張ってきたのだろう。
「頑張る」は禁句だ。
でも、ふりかえって、やっぱ大変だったかもしれない。
そう思える時は、達成感よりも、惨めさに振り切れた時。
一体、何をそんなに歯を食いしばってきたのだろう。少し前までは、小さな所帯だった。いまでは、それが苦痛に変わり始めている。
一旦、冷静になって、適正なサイズを見極わめてみよう。
そして自分の未来を見定めてみよう。
そんな数日間だった。
で、何がみえたか?
明快には、言語化できていない。
間違いなく見えたこと、それは、 中途半端になんでもある、という状況は、自分にとってはよくない、というか、もう飽きた、ということ。
東京のなんでもある、は選択肢の多さから思考が飽和する。
何かせねば、という勿体無さから。
一方で、なんにもない、という環境は、一つ一つの選択肢に魂がやどる。
能動的にうごかなければ、面倒臭さの向こう側には辿り着けない。
海、空に包まれる、そんな生活は永遠と続けていけそうだった。漁や猟、誘われるがまま、誰かについていく、そんな日々に能動性のかけらもない。
その分、心をからっぽにして、たくさんのものが入ってきた。
ここには「なにもない」はずなのに。そんな未知の体験が溢れている。
そしてカメラを構えてみる。また、どうってことない写真になる。
でも、この大転換期、あとで振り返ったら、きっと愛しい写真になる。記憶になる。
そう思いつつ、撮る必要あるかなぁ〜なんておもいつつ、いつのまにか、カードの容量はゼロになっていた。
本記事は、鈴木心写真学校のオンラインサロンで鈴木心が書きおろしているコラムを一部転載しています。オンラインサロンにご加入いただくとすべての投稿を最新・最速でご覧いただけます。
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(編集・高橋慈郎)