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写真館は、ずっと先のお客様の大切な記憶にかかわる仕事です

鈴木心です。本日は珍しく雑誌の撮影で京都でございますどす。今回は写真家らしいお話です。

写真を撮ること

昨日は鈴木指名の写真館の撮影が2件あり、写真館としての覚悟を問われる1日でした。一件目のご家族はなんと8名。お子さん2名と両家族の祖父母まで。カット数が多く90分のご予約。生まれたての赤ちゃんを囲むご家族の撮影。途中お姉ちゃんがなかなかいうことを聞いてくれないも、スタッフのコミュニケーションもあって、プリントには辿り着け後日発注でなんとかゴール。

何度も諦めようと思うことがある

ぶっちゃけ。でも、もしかしたら。もう1ターン待ってみたら。と踏ん張ることも多いです。OKを出さないとスタッフも粘る。ご家族も。いつのまにか、良い写真を撮ろう! とみんなが一丸となる。そうすると撮影が終わってから、みんなで、ふぅ〜! と、みんなの写真になる。そうやって奇跡がなんども起きてきたから、もうちょい! と粘りたくなってしまうのです。

最初で最後の記念写真

2組目のお客様はバングラデッシュ出身の旦那さまと日本人の奥様の記念写真。癌と闘病中の旦那様の闘病の合間を縫っての撮影。車椅子で来店するも、とても元気なお二人に、すっかり冗談ばっかりの会話に。社交ダンスの話で松川とも盛り上がり、祖国の民族衣装にお着替えになって、車椅子から経っての撮影のときに。奥様が、ぽろっと。ここで、写真を撮れて嬉しいと、これが最初で最後の二人の記念写真ね、と。

一枚の写真の重みと思い

僕にとっては、たくさんのご家族のうちの一つのお写真かもしれない。でも、お客様には、1枚残らない写真。いやこの一枚を撮りに来ている。そしてこの写真はずっと残っていく。今日という日と、今日までのこれからの、お二人の記憶を繋いでいくために。人の死は、記憶という盾で守られている。誰かがあなたのことを覚えている限り、本当の死はやってこない。みんなの意識に生き続けるのだから。つまり写真は、死からあなたを守る盾になるのだ。

写真は記憶を預かるしごと

昔群馬の山奥に刃物の職人さんを撮影に行った。マタギの方々が銃で倒すことのできなかった熊を前にして、飛びかかってきた一瞬を岩を背にしてやりで心臓を突き刺すための鋼の刃物。職人さんは何時間もかけて鋼を手打ちして精錬し、鋭い、滑らか、だなんて口では言い表せない、鋭利な刃物を作る。「自分は人の命を預かっているんだ」。自分の刃物の精度が人の人生を左右する。

もしかしたらのために、常に全力を

無事撮影を終えてお見送りする。エレベータのドアが閉まるときに、この扉がしまったら、もしかしたら、もう二度と会えないかもしれない。でも大丈夫。今日できることはすべて尽くした。そんな気持ちでお見送りをした。でもよくよく思い返すと、いつもそうじゃん! 自分にツッコミ。どのお客様だって、それは同じで、プロフィール写真が次の瞬間には遺影になることもある。もしかしたらのこのときのために、僕はいつも全力を尽くしているって、いうことに、いまさら自覚した一日だった。

それはきっとみなさんのお仕事でも同じはず。家族との時間も。そんな未知の中に僕たちはいつも、過ごしている。写真はいつもそう囁いている。

一枚一枚大切に撮らせていただいた写真は、こちらの作品集でご覧いただけます。

鈴木心写真館の表も裏も語り尽くした2冊も、あわせてどうぞ。

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このコラムは、オンラインサロン 鈴木心の写真学校に投稿された「鈴木心の毎日投稿」を抜粋して掲載しています。最速ですべて読めるのは、オンラインサロンだけ。


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