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「ひよっこ」 17年12月17日 週間文春連載 「原色美女図鑑2月1日号」

文春編集部、酒井さんから連絡がくるのはおおよそ2ヶ月に一度。内容と日程の説明を淡々と受け、「こういう案件なんだけど、どうしようか?」と意見を求められる。と反射的に脳みそから出てくるアイディアは3つ(|後部はかつて同連載内で同場所で撮影させて頂いた方々)。

1、九十九里で海と風で撮影|三吉彩花さん、真木よう子さん(広末涼子さん)
2、下北沢のハウススタジオ綿谷邸で畳で撮影|二階堂ふみさん、深田恭子さん、武井咲さん
3、外苑前のライトワークスで直射日光撮影|土屋太鳳さん、佐藤健さん
4、その他 ホテルや他のロケーションなど|木村文乃さん、小倉優子さん

しかしこれらはもはや手癖の部類に入る。同じロケーションでできる事は限られる。しかし、本件は酒井さんが「どぉ〜しても、普段の気さくな、シシドカフカさんを見せたい!」という要望があり、いつものピリっとした仕上がりはどうにか避けたい、その空気はスタジオではどうしらって無理だろうに。

苦し紛れに出したアイディアは屋上だった。空を背景に撮る。夕焼けでとる。真冬の澄んだ空気まっすぐな夕日で撮りたい。と生っ粋の雨男は思った。酒井さんは賛同してください、あらゆる屋上を使えるスタジオを片っ端からあたってくださったが、撮影日である12月17日は不思議なくらいどこも空いていなかった。

しかし近く撮影日。どこか空がどかーんと抜けている場所はなかったか。とおもいを巡らせているとあった。お台場の海浜公園もよいがその真裏、中央防波堤という学生時代から撮影に通っていたお台場の裏にあるゴミの処分と埋め立て場、から新木場にかかる橋、ゲートブリッジは東京湾の入り口にそびえ立つ文字通り関門的な大橋。しかもここは歩道がついている。きっとここなら。って車ではなんども通過したが歩いた事がなかった。ので珍しくロケハンを撮影2日前に一人で敢行。隣接する若洲海浜公園もよく来た事のある場所だった。公園の波打ち際の岩場、天空の橋、それぞれをページと衣装を分けて撮影することにした。

撮影当日、またしてもド晴天。寒さと風以外は申し分のない環境が整った。あのとき電話で酒井さんに伝えた通りの澄んだ空気、突き刺す様にまっすぐな太陽の光。そして九十九里を思い返す風。何から何まで、想像通りの写真になった。

しかし、ただ一つ、まだ予想外の展開が残っていた。撮影後半、カフカさんのマネージャーさんが、そっと教えてくれたことにたじろいでしまった。カフカさんが僕の大学の後輩でしかも全く同じ写真学科で同時期に在籍していた、と。まさか大学の後輩を仕事で撮影する日が来るとは、、、あまりの急な親近感にライオンに鎮座しるカフカさんを前にしてひよこの様に見上げる私、、、、、。大変光栄な事である。最後にカフカさんがさらっと撮影してくれた僕の記念写真は、アングルを横にズラしながらも水平垂直をしっかり守ったまさにカフカさんのドラミングの様な骨太な構図が写っていた。まだまだ度胸が足りない鈴木でありました。

記録写真:工藤あずさ|鈴木の肖像写真:シシドカフカ

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