フィルム写真を飾ろう。写真家の作品がある暮らし
「#写真のある生活」がインスタのハッシュタグでは根強い人気ですが、写真家の作品をお家に飾ったことはありますか?
鈴木心写真学校のオンラインサロンでは、鈴木心のフィルム作品を毎月1点ずつお届けするサブスクリプションを先行して2年間実施。作品は現在1点ずつお好きなものをお選びいただけ、それぞれ鈴木が書きおろしたエッセイ「取扱説明書」がセットになっています。
菊地菜穂子さんが写真と暮らしてみての感想を寄せてくれました。
静けさのなかに秘められた情熱
『写真のサブスク』について私の解釈。今回私は第7弾を受け取りました。
第一印象は、心がすっとして安らぎを与えてくれるような静けさがあり、好きな写真だと思いました。静けさの反面、抑えているようなうまく解き放てていないような情熱性も感じ、「静・冷」:「熱」という二面性を持った不思議な写真だなとも思いました。
これはブラインドでしょうか?
そこに少し弱く光が射している。全体的に涼しげな薄いブルー、これまた薄く黄味がかったライン。そこから、風が湖水や砂漠に小さい波を起こし光があたってゆらゆらとやさしく揺れているような風景をイメージしました。
私は感情的になりやすい面があるので、そうした静かな、果てしなく連続するようなものを見ると心が落ち着くのだと思います。これが私が感じた「静・冷」の部分です。
「熱」のその先へ
一方「熱」の部分はというと、やはりブラインド(と仮定して)の先に広がるであろう世界をイメージしてワクワクした気持ちが思い起こされるからだろう、と思います。
でも、写真のブラインドは閉じた状態で差し込む光も弱い。情熱を秘めてはいるけれど、不安や恐れからそれをうまく解放できていない様子を表しているのかもしれません。いや、それは私自身なのかもしれない(情熱と言うと少しこそばゆいけど)。そんな状態に対し、「世界はずっと広いし、思っているより優しいよ! それを見ないままにしておくの?」と言われているような感じがしました。
私的にこの写真のテーマは、「冷静と情熱のあいだ」です(笑)。
写真の景色と、生活がつながる
毎日私は、「今日の天気はどんなかな?」と思ってブラインドを開けます。でも、どんなに良いお天気でも心が晴れないときもあるし、視野が狭くなり無意識に自分に制限をかけていたりします。そんなときはこの写真の「熱」の部分から背中を押してもらう。
一方、一人でゆっくり考えたいとき、ざわざわする心を落ち着かせたいときは「静」の部分から安らぎをもらう。LIXILのホームページによると、「羽根を動かすことで、光の入り方を細かく調節する」ことができることがブラインドの特徴の一つだそうです。この写真も、日々の私の気持ちに寄り添い、調整してくれています。
私の感情を呼び起こす
心さんのフィルム作品について考えるにあたり、私はこれまであまり自分の「好き」の根源を追求して考えたことがなかったことに気づきました。「あ、これは好きだな」と感じたら割とそこで満足して終わっていました(でも、人を好きになるとか、理屈抜きで好き!という気持ちも存在すると思っています)。
逆に「苦手、分からない、不快」といった感情は、その感情をずっと自分のなかに置いておきたくないので必死でその理由を探ったり、分かろうとします。意外と逆境で伸びるタイプかもしれません(笑)。
でもそれだけじゃあ、人生はつらい。私の場合&現時点での考えですが、不快なことは、頑張って努力してマイナスからゼロに持ってこれたとしても、よほどのことがない限り「めちゃくちゃ好きだ!」となることは難しい。だったら「好き」と思ったことに対して「なぜ好きなのか?」「どこが好きなのか?」を深く突き詰めていく方が、自分自身が満たされ、人生がもっと豊かになるのではないか、と思ったのでした。
そこに見つかった答えと、その伝え方、それこそが自分らしさ・自分が存在する意味なのではないか。ので、最近は「どこが好きだと思ったのか、自分!運動」をしております。
写真家と写真館を育てています。
鈴木心写真学校では、「作品づくり」と「ライティング」の2本軸でオンラインワークショップを開催しています。
撮影の基本知識から美術教養も学べて、良質な写真集もたっぷり紹介。鈴木心自身がほぼ毎日あなたの写真をレビューします。
好きな写真で、何をしたいですか? そんなあなた自身の夢や目標をより実現できるお手伝いをします。
逆に、「写真は撮っているけど何をしていきたいんだろう?」「自分らしい写真や仕事ってなんだろう?」というお悩みも、ワークショップにご参加いただくことで目的がはっきりと見えてくることでしょう。
間違いなくあなた自身の力になる3ヶ月。ご参加お待ちしております!
無料で聞けちゃう!鈴木心のなんでも写真相談室
機材のこと、表現のこと、仕事のこと、そして人生まで。もちろん写真のフォーマットのことも!
たっぷり2時間、なんでも聞けるオフラインイベントです。ぜひスタジオに遊びにいらしてください。
(文・写真:菊地菜穂子、編集:山田友佳里)