240万円。ライカM11買いました、だから何?
ライカM11を買いました。レンズとあわせて、240万円。なんでそんな値段?どんだけすごいの? と思われるでしょう? 結論からいうと、見る人には関係ないです。でも撮る人には多大なインスピレーションをあたえられるカメラでした。
ライカって面白いな、って。
写真を始めて21年が経ちました。ライカとかハッセル、そんなブランドは必ずしも「良い写真」とは関係がありません。何で撮るか、より、何を撮るか。そんな写真の本質をライカは守っています。ライカで撮影した、と語っているのはいつも、撮影者。ライカ自身は主張することなく、写真を撮る人をひたむきに支えている。使ってみると、こんなに地味なんだって、むしろ関心する、そんなメーカーでした。
直感的に、想像しながら。
撮影に集中させる、いや正確には目の前の風景に集中させる、ファインダー。そして少ないダイヤルやボタン。ディスプレイも動かないし、接写もできない。だからこそ風景と、被写体との対峙する。そして静かで優しいシャッター音。カメラの存在をなくすことなく、でも、心地よい時間が流れていく。華美な外装デザインや、複雑で細かいメニュー、多すぎるボタン、そんなことよりも、撮影に没頭させてくれる、そんな撮影者の一瞬一瞬のために、ライカはあるのです。
数字では表現できなかったこと
値段も連写速度や解像度、開放絞りの値、ぜーんぶ、数字。しかし、肝心な良い写真、伝わる写真は数値化できない。機材はなんでもいいんです。すきなものを使えばいい。この21年間いろいろな機材を使ってきました。でも、いま一番好きなのは、買ったばかりですが、このM11と、新品のカメラより高い、ノクチルックスというレンズ。いや、正確にはライカというメーカーがぎゅっと好きになりました。ごめん、ただのブランドだと勘違いしていた。実は、実は、最良の撮影環境を徹底的に考えた、もっとも、僕たちに寄り添っているメーカーなんだと。
だからこそ、使わないとわからない
ライカの魔力、これは眺めているだけではわからない、撮影風景も、撮影された写真も、それは極、普通のものだから。でも、このカメラの向こう側にある、エンジニアたちのぬくもり、そして、他メーカーにはない、良い写真、とは?それを撮れるようになるための環境とは?そんな暖かい温もりが、カメラを眺めても、手に取っても、溢れてくる。
その分、不便なことだらけ
でも、解決できる手段はいくらでもある。あれもできる、これもできる、そんなカメラじゃない。でも、撮影が、何十倍も楽しくなる。そんなカメラは、何台もない。ましてやスマホに追いつけ!と、言わんばかりの、ミラーレスに全てが向かっていくいまの効率最優先のものづくりの中では。数少ない、温故知新、を有言実行しているメーカーだから。
まだ、伴走は、続く。
驚いた。あまりにライカがどういうメーカーが語られていなかったことに。値段や性能ばかりで、撮影者にとって、どういう存在なのか、M11がどうか、ということよりも、僕はライカというメーカーに興味が生まれた、そして、与えられたこのマシンをしっかりを受け止めたい、と。写真を始めて、21年、こんな気持ちになったのはいつぶりだろう。僕の場合はカメラは24時間使い、そして利益を産むこともできる商売道具。それが240万円で得られるのだとしたら、もしかしたら、これは、適正な価格と言ってもよいのかもしれない。
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RAWデータのレタッチはRNIのプロファイルをかけて、かなりすり潰しています。