打ち上げ花火、あなたはどう撮る?
むかし、NHKの美の壺の書籍撮影で行った土浦の花火大会。
(当時全編フィルム撮影)
田んぼのど真ん中であがる、でっかい花火をみて、感動したっけ。
あれ? 何に感動したんだろう。思い出せない。
のちに福島で出会った長岡の方は、長岡の花火大会が日本一だ、と言って聞かなかった。土浦もよかったんだけどなぁ。
先週たまたま行った長岡で、花火大会の話になり、これ観てみないとわからないなぁ、と。日本一ってなんだろ、と。
そもそも、祭りも花火大会もきらい。みんなで同じことするの大っ嫌い!
な僕が、花火大会に、、、いくの、、、しかも、、一人で、、、、。
その方が気兼ねないか。東京ドームの初のパフュームのライブも口パクで、最初3曲で5列目から帰ってきたくらいだから。
と一路長岡へ。
「すんごい混むんです!」
と何度も注意されていたので、自分での混んでるMAXであるコミケを想像してたからか、
「あれ?こんな感じ、、、、、?」
と拍子抜け。
というのも、駅到着は19時前だからみなさま会場入りしている、そして会場アウトは20時過ぎだから、みなさままだ会場に残ってる。
そうじゃなきゃ行けないし、帰れないし!
会場に向かってい道すがら、開始の一発。
どーーーーーーーーーーん!と鳴った。
それをみて、ああ、来て良かったって素直に思えた。
ダイナミクス
こんな大きな爆発を、夕暮れの夜空に広がる火花を、体で体感できる。これがテレビも映画もない時代には、さぞ気持ちよかっただろうなぁと。夏にやるのは、帰ってくるご先祖に向けてだろうか。そんな神事にも感じた一発だった。
会が進むと、こてっこての、連発系が出てくるんだけど、まぁそれはいいかなぁと。彩度が高くって、けばくって。そうだね、きっとあの打ち上がる前後の余韻、あの余韻と間が美なんだと思う。
写真を撮るにもなぁ。望遠、三脚で長時間露光やれば、そりゃ楽勝でしょうけど、そういう場所ってみんなおんなじところから撮るのよね。行くと、ずら〜って並んでる。
そうじゃない一個人の目線。僕は下手でもそんなものが好き。
電柱や家、人が映り込み、あの余韻と雰囲気が蘇ってくる。
こういう撮り方こそ、川内倫子さんの『花火』という写真集でやりきられている。だから、封じ手というか、もう焼き増ししかできない。
となると、
「誰が撮ってんの?」
ということが物語になってくる。
心さんが、ひとりで、長岡にいって撮ったやつ。そういうストーリー。
『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』とは岩井俊二さんの映画のタイトル。
僕は下だなぁ。あの視界を覆うどかん音、そして、夜空に散っていく火花、火の粉がきえていく様。
あれをじっくり観たい。のこった煙が風に流されていき、おわった? おわってない? あ、また来た、みたいなあの流れも好きだ。
そんで、長岡の花火大会は日本一だったのか?
答えは、ノー。
唯一の花火だった、それは土浦も一緒だし、大曲も一緒だろう。
昔、神奈川の奥地、新松田の花火大会も素敵だった。そして何より、一発一発の作り手の思いをしっかり感じることができれば、大会ではなく、花火それ自体の見え方が変わってくるはずだ。
書籍の撮影では、花火師さんの元に伺った。(本に掲載されている)
可燃性の火薬を大量に使う仕事だから、山奥でひっそりひとつひとつ手で組まれている。
僕は、花火を見ながらあの光景を思い出す。
さて、今年はすこし、花火大会が気になる人生になりそうだ。
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(編集・高橋慈郎、山田友佳里)