写真集は見る哲学書。写真は見るものではなく、読み物である。
どうでもいい、写真なんてあるのだろうか?
ではどうでもよくない写真とは何だろうか? そんな写真の考察をめぐって始まった鈴木心のどうでもよい写真撮影。写真のワークショップの開催を経て、自分も制作してみようということでノリでつくった「どう\でもいい」は結構いい感じに仕上がってしまった。今日はそんな一読者でもあり、ワークショップ参加者である川端さんの、どう?でもいい!考察をご紹介!
こんにちは。 ご指名いただいたので、僭越ながら「どう\でもいい」を読んでレビュー的なものをインスタに投稿してみました。その投稿をこちらにも転載しておきます。 僕は心さんの意図を全然読み解けなかったので、他の方の感想も楽しみに待っております!
光って写真の中だけでなく外でも大事な要素なんだな、って気が付く
どうでもいい写真集をiPadの代わりにカバンに忍ばせて、横浜へ散歩に行ってみた。 メモ帳ぐらい小さいから、気軽に持ち出せる。 どうでもいいから、脂ぎった手でペラペラ捲れる。 電車の中で読んでみた。 横浜の公園で眺めてみた。
家で初めて観た時と印象が違う。 太陽の明るい光の中で写真がいきいきと輝き出す。 光って写真の中だけでなく外でも大事な要素なんだな、って気が付く。 スクエアに無造作に切り取られた写真。
スクエアにトリミングしてもきちんと成立している。
家に帰って、ダウンロードしたRAWデータのトリミング前の写真を確認する。 あれ?これって縦で撮ってたんだ? これは横構図? 心さんの視点はもしやこっち?? でもスクエアにトリミングしてもきちんと成立している。 ヘェ〜〜。 ついでにメタデータをチェック。 カメラは今モノクローム版発売で話題のライカM11なんだ。 レンズは標準の50mm使ってるんだ。 ISO結構あげて撮ってるんだな〜。
撮って楽しい、机上の研究も楽しい。
同じくダウンロードしたJPEGデータでは205点の写真を閲覧できる。 この中から本に収録されたのは63点。 つまり3分の2の写真は選択されなかったわけだ。 選択したものとしなかったものの差は何なのだろうか? 見開き4枚で配置したのはなぜなのだろうか? 人物と風景のバランスを考えている?いや、人物だけの見開きもあるなあ。 主題が明確なものを省いている?いや被写体が明らかなものも結構あるなあ。 逆に抽象的な写真を省いている?そんなこともないか?? このハンガーの影の写真は選ばないんだなあ。一方、扇風機の影の写真は収録するんだ。 かっちりした構図の写真は選ばず、あえて緩い構図のものを選択しているのかな?? −−わからない。
でも答えなんてどうでもいいのかもしれない。
そんなことを思考できたこと自体が写真という媒体の魅力であり、生きている実感をもたらすものなのかもしれない。 インスタの「映える」写真だけが写真じゃない。 どう? でも良い。 鈴木心さんの写真集は自分と写真に向き合える、まさに「どう\でもいい」写真集だった。
写真は読み物です。そして、鏡でもある。
写真は見えないものに向かっていくと同時に、その先には今までしらなかった自分自身と出会えるツールでもある。せっかくカメラを持っているのだから、その力存分に発揮してみませんか?
ワークショップ参加でオンラインサロンも無料になります。たのしい仲間と、たのしい写真を。ぜひこの機会に!