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一瞬で伝わる写真の裏側には、どんな思考があるのか。

写真を撮るとき、上手な人はファインダーで何を見て、何を決めて撮影をしているのか。当たり前なことのようで、実は知らない世界かもしれません。

3年間で受講生が200名を超えた人気講座「鈴木心の写真がうまくなっちゃうワークショップ|ベーシック」。その初回のテーマは「伝えたい1点をはっきりさせよう!」というもの。

受講生たちのリアルな対話が気づきに富んだ内容だったので、ちょっと長いけどシェアします!

Q:私は何に心を動かされるのだろう?

点見つけの質問です。
あっ!という「点」が、まだわかっていません。

今まで、あ、素敵と思うときは、構図というか、光の入り方とか、全体の配置の魅力みたいなのに惹かれてきたので、「一点」というのを考えたことがありませんでした

一点に、あっと思うのは、だいぶ近距離ということでしょうか?

たとえば公園にレトロな自転車があって、そのたたずまいが周りの木とのバランスでいいなと感じたとして、自転車のどの点にあっとしたかというと、私が探そうとすると、どうもこじつけになってしまいます。

たとえば、近くだと2つの指を一度に見られませんが、手を伸ばせば、両方みえるように感じます。つまり、近距離であっ!を探してから、距離を離れていくってことでしょうか?

撮影は近距離からとありましたが、探すときも虫の目になって近距離でなのかとか!?

こんな私に、点に、あっと、思うような、アドバイスをお願いします。

A1:感動の言語化

考える機会をいただき、ありがとうございます!
振り返ると、撮影時にタイトルの方向性が決まっているか(注:課題ではタイトルをつける練習もセットにしています)否かで、見つけ方が2パターンありました。

決まっている】タイトルが伝わりやすいような1点を考えて中心に設定
例)駐車場にポツンと停められた車(被写体)を発見→リアライトが宇宙戦艦ヤマトの波動砲に見える→LEDの中央を1点に設定

【決まっていない】最初に目が合ったディティールを中心に設定(直感)
例)地面に落ちているトマト(被写体)を発見→傷に目が合う→傷の中央を1点に設定

結果的にこじつけだったとしても、自分がどう感じ、どう考えてこじつけたのか、その過程がこの後養っていく自分らしさのヒントになるのでは?と思って楽しんでいます笑!

真木晃汰さんの課題作品
選ぶ被写体も、あなたがそこにいて、気づくから決まるもの。
すでに自分らしい視点は始まっている!

A2:見慣れた視点から離れる

私の場合、いつも何気なく歩いている道でも、目のピント位置を変えて歩いています。隠れミッキーを探す感じです!!
(くねくね歩いているので、結構不審者に見られてると思いますが、カメラ持って歩いてれば大丈夫です!笑)
 
そうやって歩いていると、思ったより点はたくさん見つかります。

ですが、見やすい絵の整理として十分に距離が確保できなかったり、水平垂直が確保できなかったり、なんか面白くないなーとか、似たような点は他にもたくさんあるなーとか、そんなことを繰り返していると、いつもの「あっ」よりも大きな「あっ!」に出会います。

あと同期の投稿を見たときでいうと
ミノムシ?の模様の一部!
電光掲示板のドット!
3枚構成の距離感!
おーーー!!と感動して、
自分の周りでも同じようなものはあるかなー?
なんて思いながら歩いていると、普段歩く道がもっとくねくねになります。

A2:誰にでもひと目で伝わる点

振り返ってみると点と面の違いが分からず、担任のとっこさんに数回指摘されていたことを思い出します!

僕なりに簡単な区別の仕方としては、突起物を探すのが一番簡単だと思います!

具体例をいつくか上げておきます。上下左右、自分の方を向いている尖っている物を探してみてください!

1)キズ
2)葉の先
3)ペン先
4)膨らみ
5)角
6)交差してできた点
などなど探してみるとたくさん見つかってくると思います!!

古川龍成さんの課題作品
少し人間の視界やふだんの距離感から近づいて、目を凝らしてみる。
どんなものも小さな点で構成されている。

A3:生活と眼とカメラが一つにつながる

自分の場合、仕事で関わっている会社の若手が作るプレゼンに対して、これでは視野が狭すぎるとか、もっと世界を俯瞰してみろとか、視点を少し変えたら違う世界が見えるはずだとか、偉そうなことを言っているのですが、そんな自分は、物事を点で見るすら全くできていないなんて!

ある意味、生まれ変わったみたいな感覚で、点を凝視するのが毎日の楽しみになりそうですし、みなさんの写真や、とっこさんのコメントに凄い刺激を受けています。

あと、最短焦点距離より近づくとピントが合わなくなるカメラと接して、君も老眼なんだね、とカメラに親近感が湧いてきました。若い人にはピントこないと思いますが(笑)。

A4:写真にうつるのは「物」だけじゃない

【課題開始当初
僕も風景で世界を見る人でした! 本業の勉強のためにある本を読んで、世界の細かいところまで見られるようになったと思っていました。

このワークショップが始まって、それは「物」を見ているだけでもっと細かい世界があったのかーー!ってなってます!

つまり、中(物)と遠(空間)を今まで見ていた。逆に近(点や線など)が分からず、いろいろ試してみました。段々とつかめている気がします。

【課題をやってみて】
課題を通して、無理やりこじつけで近(点や線)を見ようとする→間違ってたらレビュー・コメントを通して修正してくれる→段々目が慣れてくる→点で「あっ」と思えるようになる
を体感しております。

【私的・点の探し方と近中遠について】
1)点で「おっ」となると中・遠で別の情報を加えて伝えたいことが変わるようにする。(電光掲示板の投稿)

2)物で「おっ」と思ったときは、近でみて点や線でさらに「おっ」と思えないか、何か語れないかを探してみる。(木杭の投稿)
なければこじ付ける。
そんな感じで取り組んでおります。

あっちゃんは僕のように元々、遠に感度が高いんだと思います!
だけど、実はそれより細かい世界があって、、、さらにそれより先があることに気がついて、けど見方がわからなくて、、のかな。何が点なのかこじつけでやってみることは間違っていないのではないかと!

一限の課題は、すごくシンプルだけど多くのことを求められて、少しずつレベルアップしていこうと思っています!


A5:1点の見つけ方は人それぞれだからこそ

「佇まいやまわりとのバランス」に良いなを感じるというお言葉、そこにきっとらしさが隠れてるんだろうな〜と感じました。

ちょっと枠を広げた話になりますが、1〜4限までの課題はご自身が感じた感動の一瞬、その「佇まい」や「バランス」を伝えるために

・どこにピントがきて
・どの時間軸で
・どの光で(場所や時間、季節)
・どんな距離で
・どんな構図で
・どんな明暗のバランスで
・どんな色の配置で...
だったら伝えることができるのか?
一つひとつのその手段を、ご自身らしく習得していく課題だと私は理解しています。

なので、1限では「バランス」や「佇まい」も距離違いの3枚それぞれに切り取りつつ、ここで習得したい「ピント1点」の解像度を上げるために、ご自身の「あ!」の中の1点探しをトレーニングしていただけたらと思います!

私の受講時、まだよくわからなかった時期のことをお話ししますと...

よくわからなくなり、
あまり考えすぎず筋トレだと考えて数をこなしてみる

点...点...(自分的に)面白そうな点...
と、どこを歩くにも点探しをする

気になったモノは撮っておく
(タイトルや絵の面白さを考えながら)

一日の終わりに選定&タイトル決め

これを繰り返していくうちに、しっくりくる点に出会えるようになってきました(だんだんと、見つけた点に「〇〇さんだったら撮りそうだなぁ〜」なんて感じるようになったり)。

点の捉え方は人それぞれですが、何かしら参考になることがありましたら嬉しいです!

こんなに深い!楽しい!ワークショップの1限目はこちらでご覧いただけます!

機材はあなたの撮りたいものを見つけてはくれないから

機材の操作を知っているだけではわからない、伝えたい一点の決め方から練習できるのが「鈴木心の写真がうまくなっちゃうワークショップ|ベーシック」。

カメラはなんでもOK。心が動く解像度を上げ、伝わるかたちにできれば、あなたらしい写真が見つかります!

カメラが使えるようになったら、光を使えるようになろう。
写真は光で描くメディア。ライティングでもっと写真の質と表現力が広がります。

もっと伝わる写真の考え方は、こちらの副読本をどうぞ。

(編集:山田友佳里)

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