写真家・鈴木心が変化の時代を恐れないのはなぜか。
人は言葉に支配されがちだ。
友達、恋人、家族、仲間。言葉を意味を信用することで、違いを信用していると信じている。環境はかわり、考えもかわる、思想も変わる、にもかかわらず。
なにかを信じること、それは、相手のためだけじゃない。むしろ自分のためなんだろう。信念。自分を自分たらしめる理由、そして自我を、他者を鏡として保持する。良くも悪くも。
何事も、良し悪しを持ち合わせている。お腹を満たすが、太る。早いが値段が高い。相反する条件を超えてもなお、持ちたい、そういう欲求が人を動かす。
『怪物』という映画を見た。映画をみたのは久々。「いじめ」を軸に、子ども、親、学校を描く作品。どこにでもいる、なんでもない人たち。その中にドラマがある。という話。
監督はいつも弱者の味方だし、家庭や友情の繊細さを描いている。どうしてもエンタメ稼業であり蔑ろにしがちな生活の陰、いや、本質、をあらわにする。僕にはこんなにキラキラした学生生活はなかったなぁ〜と。
なぜなら、そこにい続けないといけない、という理由がなかったし、そういった規範を「信じて」こなかったからかもしれない。ある日学校にいくと、だれも口を聞いてくれなかった。そんな「ある日」以降、僕の脳みそから「友達」という言葉は消えた。
高校時代に付き合っていた子が進学し、新しい生活を新しく好意を持った相手と歩み出したときに「恋人」という言葉が消えた。
言葉とは、規範とは、それほど儚い。あれだけ信じていたものが、ある瞬間で、消滅する。それはまるで写真の様だ。しかし、とどめていくことはできない。それ自体が無価値だと思う。なぜなら
宇宙には、決まりなどないから。
言葉や概念に縛られない。そして術にも。術なき術、そこに空(くう)があり、空こそ真なのではないか、という道。
新しい出会いと、別れを繰り返し、心は磨かれていくのかもしれない。気づけば、梅雨か、雨は鬱陶しい、でも雨がなければ、生も食もないではないか。
これからも、自分らしい写真と生きていくために。
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一問一答形式だから30分程度で読めて、その日からあなたの「眼」と「心」が変わります。
本記事は、鈴木心写真学校のオンラインサロンで鈴木心が書きおろしているコラムを一部転載しています。オンラインサロンにご加入いただくとすべての投稿を最新・最速でご覧いただけます。
(編集・山田友佳里)
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