一人で撮る写真とチームで撮る写真の違い
カメラさえあれば写真は一人で撮ることができる。のですが、チームで取り組めば写真に姿を収める以上の体験になる!
たとえば、広告のような多くの人の目に留まる写真には、たくさんの人々が関わっててできています。写真館でも、そんなことができたら?
撮影前後のお客さまのケア、最高の瞬間を引き出すためのコミュニケーション、そして、写真を目にしたときの驚きと感動を提供する工夫。
鈴木心写真館の出張イベントをお手伝いしてくだっている平山佳世子さん(港の近くの小さな写真館)がレポートしてくださいました。
隠岐島での初めての写真館と、4回目となる呉での鈴木心写真館のイベントに参加させていただきました。
これまでも何度か当日スタッフとしてお手伝いしてきましたが、役割を全うすることに精一杯で、撮影前後の流れを注意深く観察する余裕がありませんでした。
今回は撮影中に表情を引き出し、並び方などをご提案していく「前座」と呼んでいるポジションを担当。立ち上がりはお客さまや撮影の心さんに迷惑をかけないように、待たせないようにと焦ってしまったので、倉橋では少し時間かけてでも、お客さまとのファーストコンタクトを大切にするよう切り替えました。
はじめましてさんと、リピーターさんと
隠岐島での出張鈴木心写真館は初開催。
お客さまはチラシなどで出来上がりの写真は目にしていても、それがどのように撮影されているのか知らない方がほとんどです。お互いが顔見知りで安心感はあるものの、不安な気持ちもあったと思います。
場所慣れに時間がかかるお子さんもいらっしゃいましたが、撮影ポジションに着いたらいつもの撮影を楽しんでいただけたと思います。
倉橋のお客さまは2回目や3回目の方も多く、お客さま自身も撮影の様子をある程度ご存じなので、前回はこうしたから今回はこうしたいなど、逆にご要望をいただくこともありました。受け身の撮影ではなく一緒に作り上げたいという気持ちが伝わる撮影会だったと思います。
子どもとの接し方の工夫
とにかく最初のご挨拶と、お子さまがいらしゃる場合は必ずお名前(パパとママが呼んでいる愛称)を呼ぶこと。
また、元気な挨拶は大事ですが、お子さまに応じて声のボリュームを変えるように気をつけました。元気な小学生くらいの子には初めから同じくらいの声の大きさで話しかけますが、まだ人見知りがある子には驚かさないように小さめの声で目を見て話しかけるようにしました。
撮影しはじめはパパとママにしっかりと抱きしめてもらって、慣れてきたらおててでおもちゃを触ったり、パンチしてみたりと、心を開いて笑顔が見れたときは本当に嬉しくなりました。
鈴木心の「特別な瞬間」の引き出し方
時々心さんも表情を引き出すコミュニケーションに入ることもあり、お子さまたちと同じ目線ではしゃぎ回っていました。だからこんなに良い表情を引き出せるんだと、いつも写真を見て感動と一緒に嫉妬しています。
同じ環境を作って、同じお客さまをお迎えしても、仕上がる写真は撮影者によって全然違う。そのご家族の歴史の一枚を撮影させていただく責任と自覚を持って、すぐに諦めずもっと欲張りになって撮影に向き合わなければと改めて感じました。
出張写真館での観光とコミュニケーション
各開催地では、前乗りしてスタッフの皆さんと観光したり一緒にご飯を食べたり楽しく過ごしました。オンラインでは顔馴染みでも、実際会ってお話しすると新しい発見があったり、一緒に過ごすことで気持ちもほぐれ、一体感が生まれます。
立ち寄ったお店で写真館に予約されているというお客さまと会えたり、風土に触れることでその土地の良さを共有できる貴重な時間にもなりました。
撮影セットや動線はその日その時のベストを
倉橋では4回目の開催にして、カメラと背景紙の位置が今まで180度変更になりました。同じ場所だからといっていつも同じ撮影環境はなく、その場に来て初めて気づくことも出てきます。撮り慣れているから当たり前、ではなく、常にベストを尽くす。
鈴木心写真館スタッフのりささんを中心に、どうすればスムーズにお客さまを誘導できるか意見を出し合います。今まで指示を待っていたり、受け身でしていた作業もスタッフ同士で知恵を出し合って解決し、本番に向かっていく作業を通して連帯感が生まれていく。
イベントが進むにつれ、分からないことや、聞きづらいことも遠慮なく話せたり、撮影を担当する心さんからの改善案もすぐに伝え合って、連携しながらブラッシュアップしていけたと思います。
一人撮影とチーム撮影の違い
ふだんは一人での撮影なので、こうやってスタッフが連携しながら作り上げる出張写真館の素晴らしさを体験できる有意義な時間でした。一人でできることの限界も感じながら、それでも一人でどこまで出来るかを模索し続けています。
総じて、この2回の出張写真館での経験は、写真を通じて広がるコミュニケーションと、チームの大切さを改めて実感させてくれるものでした。
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写真家と写真館を育てています。
オンラインスクール鈴木心写真学校では、「作品づくり」と「ライティング」の2本軸でワークショップを開催しています。
撮影の基本知識から美術教養も学べて、良質な写真集もたっぷり紹介。鈴木心自身がほぼ毎日あなたの写真をレビューします。
好きな写真で、何をしたいですか? そんなあなた自身の夢や目標をより実現できるお手伝いをします。
逆に、「写真は撮っているけど何をしていきたいんだろう?」「自分らしい写真や仕事ってなんだろう?」というお悩みも、ワークショップにご参加いただくことで目的がはっきりと見えてくることでしょう。
間違いなくあなた自身の力になる3ヶ月。ご参加お待ちしております!
(写真・文:平山佳世子、編集:山田友佳里)