鈴木心写真館inコミケのひみつ「白背景に一灯」を攻略せよ!
鈴木心写真館inコミックマーケットは2014年末に始まりました。企業でもないサークルでもない、コミケにおける新しい枠組みの実験として、参加者と準備会をつなぐ写真の試みです。
機動力重視、初陣、コミケ87
カメラ:HASSELBLAD H1 + Phase One IQ180
ライト:BRONCOLOR GRAFIT A4 + Pulso G
ディフューザー:PROFOTO SOFTBOX 90X120
当初から多くの方を撮影することを想定された出張写真館形式のプロジェクトだったので、会場であるビックサイト内のどこにでも組み上げできるセッティングが大前提でした。その上で必然的に、初回はライトは一灯、そして可動の単色の紙の背景になりました。
ボックスライトの特性は二枚の布で光を拡散しながらも、箱型のディフューザーで光を無駄に広げないこと。柔らかくも無駄に環境に影響しないことで、任意の光を得やすくなります。その利便性を重視しました。このころは1日に二箇所で写真館を開きました。
このときはメインライト一灯のみ、なので、背景の白がはっきり出ない。そして影が背景に落ちてしまいます。それでも、機動力の高さを重視しました。
現場力全投入、コミスペ6
カメラ:Phase One 645DF + Phase One IQ260
ライト:BRONCOLOR SCORO+ Pulso G, Ring Flash P
ディフューザー:BRONCOLOR Para222
当初から写真館は継続性を前提として始まりました。2回目である15年3月におこなわれたコミケットスペシャルではブロンカラーとフェイズワンの協力の元、当時よく使っていたブロンカラーパラ220、そして、
フェイズワンのカメラをお借りして、広告撮影さながらのセッティングを導入。驚くべきは、この2日間は撮影参加が無料でしかもプリントまでサービスでした。
前回の懸念点だった背景の明るさや、影を改善するために、背景用には傘を4本立て、人物用のパラ、と背景用の照明を分けて調整しました。背景も足元まで巻き込んだので、全身で、という要望にも対応できました。
さらにこの回からプロジェクターを利用し、撮影した写真がプロジェクターに中継される仕組みも導入し、写真を撮る毎に歓声が湧き起こりました。2回目にして、完成形のコミケ写真館となりました。
パラ177で西会議室を制圧せよ。コミケ88。
カメラ:HASSELBLAD H1 + Phase One IQ180
ライト:BRONCOLOR GRAFIT A4 + Pulso G
ディフューザー:BRONCOLOR Para177
ところ代わり、西の階にある会議室をスタジオとして割り当てていただいた写真館。コミスペでのセッテイングを縮小する形でセッテイングしました。パラのサイズが177へ変更。他はコミスペのままです。
ここで苦戦するのは、ライトの光軸を太陽光のような十分な高さから落とせないこと。人物と同じくらいの高さから横に打つため影がでる角度が浅いです。(=光が低い位置にある。)それでもパラの芯の位置を調整できる柔軟性を重視しました。
引き続き同じ場所のコミケ89でも同様のセッティングへ。ただし、パラのディフューザーを取り外しより硬い影がでるようにしました。
鈴木心写真館inコミケ、もう一つの姿。
こちらはもしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、鈴木心写真館のもう一つの活動は、コミケの風景の記録です。神出鬼没、コミケらしい、風景を克明に記録しています。
ファインダーを覗かず、カメラを一脚の先につけた、高いところからの撮影。絞りはf16以上。角度も水平も真下から見て測ります。自分で言うのもなんですけど、これは職人技です。その一部をコミケの40周年記念史の表裏でご覧いただけます。
準備会twitterトップのこの風景写真も鈴木心写真館が東ホールのキャットウォークからiphoneで撮影させていただいたものです。さて、、、、。
パラからの帰還。コミケ90
カメラ:SONY A7S
ライト:BRONCOLOR GRAFIT A4 + Pulso G
ディフューザー:BRONCOLOR SOFTBOX 90X120
おなじく西の会議室3回目では、パラからボックスへ戻りました。ブロンカラーの90X120cm。大きすぎず、小さすぎず、このボックスのグラデーションが大好きです。カメラもソニーアルファ7Sが定着してきました。
だんだんと回を重ねるたびに、コスプレだけではなく、一般の方、そして写真館のためにコミケに来てくださる方、が増えていき、写真館の任務をより明快になって来ました。
初めての東8ホール、そして同人出版、コミケ91。
カメラ:SONY A7S
ライト:BRONCOLOR SIROS
ディフューザー:N/A
長い工事から完成した東8ホール。そのこけら落としに写真館は西会議室から、引越ししました。いままでのサイズの狭い場所からコミスペ級の大きな面積を得て、また新しい取り組みを行いました。
2日開催にあたり、各日、ことなる背景色。そして、ライトもデフューザーを一切はずした生のライト(ベアバルブ)。いままで戦って来た背景に見える影を逆に移し込んでしまおう。そして、硬くも遠くすることで影を軽減してフラットな絵作りに挑戦しました。同時に背景の照明も必要なくなるので、非常に簡易的なセッティングになりました。つまり、よりコミュニケーションで被写体の魅力を引き出さないといけないのです。
また同時に、いままで写真館としてのみの参加でしたが、写真についての同人誌を出版しました。記録から、ようやく参加者としての一歩踏み出すことができました。
いまや医療界で最も有名な写真家であり、写真界でもっとも有名ながん患者の幡野もわざわざコミケに本を買いに来てくれました。すっかり忘れてたけど、、、。
シンプルなセットの甲斐もあり、写真館らしい、表情がたくさん溢れた回でした。
何度目の原点回帰?コミケ92
カメラ:SONY A7S
ライト:BRONCOLOR SIROS
ディフューザー:Broncolor softbox 90X120
いろいろやるともどってくる鈴木のセッティング。結局またボックスに背景飛ばしの組み合わせ。この難点は背景までの距離がちかいと、背景の明るさに飲まれてしまい、意図通りに影を出すことが難しいこと。これはずーーーぅとコミケでの課題です。背景までの距離を十分にとれない。でもどうにかできるのではないかと今回のコミケ94でも試行錯誤しています。
さて、いかがでしたでしょうか?今回で8回目の参加となる鈴木心写真館inコミックマーケット。一灯といっても決して簡単なのではなく、逆にごまかしの効かないシビアな撮影になってきます。なぜその距離?その角度?その出力?ちょっとした調整でまったくべつのものになってしまう。完成しては次へ、いつもその繰り返しです。
写真はライブだ、コミケ94
カメラ:SONY A7S
ライト:Profoto B1x
ディフューザー:Profoto softbox 60X90
今回も挑戦あるのみ。鈴木心写真館inコミケは、その撮影風景を観覧することもできます。撮らなくても、撮られなくても、写真を通じたコミュニケーションを体験していただければと思います!あ、今回はすべてプロフォトに機材を一新しましたっ。鈴木心写真館inコミックマーケット詳細はこちらより!
鈴木心写真館は2011年に始まった出張写真館プロジェクトです。2017年末に松陰神社に本店をオープン。それまでの道のりを記した一冊です。もしご興味持たれた方はこちらご覧くださいませ!コミケでも販売中です。