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魂が響き合う時間、写真が奏でる旅路

神戸での出張写真館が終わって、恒例の「東京に帰りたくない」病が発症し、火曜の朝まで粘って水曜は撮影が、、、、、でも難しいな。と判断。でも行きたいところもない、そんなときに、神戸での写真館をサポートしてくださったかおりさんは鳥取から、懇親会会場の店員さんは、米子。

そんな日本海の地名を聞いていてふと、隠岐島をJALしてみると伊丹から直行がある。と気づいたのは朝の7時半。空港までのバスは8時過ぎ。宿の予約だけ済ませ、一気に片付けて突っ走る。バスの中でニューヨークとの打ち合わせを済ませ、搭乗する。

隠岐島空港からバスで港へ。僕がいくのは海士町。隠岐島が4島に分かれているというのは、海士町についてから知ったことだった。この3年間ずーっとこの島に来たいと思っていた。ホテル稼業をしている知り合いからこの島のホテルのことを聞いて以来、ずっと頭から離れなかった。entou。

フェリーを降りて港で写真を撮っていると、「鈴木さんですか?」と声をかけられる。それは隠岐島から前を歩いていた若者だった。

バックパッカーかと思ったら隠岐島からライブを見に海士町に。撮影業を営んでいて、YouTubeいつも見てます!と。せっかくこの地に来たのに顔が割れてる、、、、がーん。と思いつつも、情報源としてはありがたいので一通り、話を聞き、夜よかったらライブ、、と誘われ、気乗りはしない、、、会場であり、宿場を営んでいる店主も撮影業をしているらしい。 ふむ。

半信半疑でライブ兼夕食に向かう。そしてひっくり返る。魚アレルギーなんだけど、お魚おいしかった(そりゃそうなんだけど)。そして演奏すごかった。山本久土さんのギターソロライブ、、、、。

ギターが鳴ってた。鳴いていた。叫んでいた。山本さんも。そして、島が鳴っていた。これか、魂で演奏するって、奏でるって。僕は写真を奏でているのだろうか、そんな自問自答をする時間だった。すごかった(言葉での説明放棄)。

島の夜はとにかく暗く、静かだ。本当の無音。風もないと、どこまでもしーんと、反響がない。そんな空間や暗闇の奥深さやに触れ、ふと心が楽になるのを感じる。東京に帰らなくってよかった。

そしてもう一つ、YouTubeやっててよかった。(このあとYouTubeみてる、写真館しっているという人たちに何度も遭遇することになる、なにこの島!)

翌朝は旅先でも続けてきたジョギング。知らない道、街、風景、その朝はとっても心地がよい。もちろん写真を撮りながら。朝の運動はセロトニンが出るらしい。そうかどおりで。しかし、気持ち良すぎて走りすぎないように程よいところで引き返す。

2日目は仕事日。本当は前日だったはずがイベント目白押しでなにもできなかったので1日ホテルに缶詰して仕事をする。海、太陽、船を眺めながら。

船着場では、写真家志望の若者にであった。東京の写真館で働いていた方にも。ここには島留学という補助があり、全国からここに住み働く若者がいる。地域おこし協力隊とは異なる独自のルールと戦略に、なんと去年は100人の若者が。

夕食は、昨晩の紺屋さんへ。若い方々へのいろんな質問をさせていただき、言わずもがな若干論破しすぎにならないように、ほどよいさじ加減、、、、、、で、、、、、できただろうか。ついつい、、、、、まぁ補助金ビジネスは置いておいて、そこには大人な移住者たちもいる。広告制作の渦中にいたようなデザイナーさんとは話がスムーズだった。

さて、僕がこの島でできることはなんだろう。これだけ自分のことを知ってくれている人がいるのであれば、何かすることは容易だろう。また来たいしな。そうだ、写真館!

3日目。2日目に仕事を進めて、3日目は観光! そう、ここは島全てがジオパーク。保護されているエリアである。というのも、ここは全部が一つの火山で、ふっとんで沈んで、島々になったカルデラ島。つまり鉱物の真上にみんなが住んでいるのです。

実はなんでかカルデラ好き。地理の授業ででてきたときから、なんか好き。阿蘇、十和田湖、そして隠岐。やっぱみんなこの独特の気の流れがある、それは鉱物のせいなんじゃないかって思ってる。鉱物はマグマが化学反応してできる、その鉱物が集まって岩になり大地になる。パワー、、、あるよね、、、そりゃ。

そんな充実の3日間を過ごし、あと2日間はいれるかな、いや次回に見送るか? いや、写真館をしにくるんだよね? ほんと? なーんて、後ろ髪を引かれつつ、そんくらいのほうが良い旅だと思う。

観たいところもほとんどみれなかったけど、なぜか知り合いはたくさんできて、ふと思い立ってきたけれども、結果、隠岐の魅力はこんなオープンな人にあるのかもしれない。いやentouもよかったよ十分。

4日目、東京に戻る。戻りたくないですよ。本当に。でも、仕方がない。朝はジョギングと散歩。港を囲む森から鳥の鳴き声に360°囲まれる。海は澄んで、底が見えている。温泉に入って、仕事を始める。今日も移動だからいろいろ朝から済ませないと。


そういえば、船の時間確認してなかったな、と思い。調べようとすると東京から電話。え? ミーティング? あれ? 出港は30分後? やばっ! いろいろ同時に始まる。荷物もまとめてないし〜!

港に見送りにいくよって、いやいや。そんなって思ってた。フェリーの甲板に乗って、みんながどんどん小さくなってくる。船の音でどんどん声が聞こえなくなって行き、大きな声をだしても、時差が生まれ始める。

船に一人の自分。島のみんな、まるで宇宙に一人で旅立つように、島が惑星に見えてくる。どっちもポツン。声が聞こえなくっても表情が見えなくっても、思い合えれば、ずっと手を振りあえる。どんどん小さくなってみんなが桟橋を離れていく。今度はそれを見送って、なんともいえない気持ちになる。

ふと、気づくと、頬には、涙がしたたっていた。きっとこの土地で出会った、いろいろな魂に自分の魂も共鳴したのだろう。だから、またくる。次は、このお礼をするために。

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(文・写真:鈴木心、編集:山田友佳里)

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