鈴木心写真館のひみつ「祭りは続くよ、どこまでも」の巻
今日は写真館スタッフのゆもとが、鈴木心写真館でいつもお客さまをお迎えしている提灯と、スタッフが羽織るお揃いの半纏のお話をします。
「出張写真館時代」
鈴木心写真館は全国に出張する写真館として2014〜17年に活動してきました。いろいろな場所で出会うお客さまを撮影する写真館は、当時鈴木にとっても初めてのこと。2014年まだまだ模索しながら進んでいた写真館は、鈴木の出身地である福島の郡山で、毎年夏に開催されるうねめ祭りに初めて出店しました。
「祭りノリの写真館」
奈良と郡山を繋ぐ采女伝説にまつわるうねめ祭りは、鈴木も子供の頃から参加していたとっても思い出のお祭りです。「お祭りを楽しみに来ているお客さまに、そのままの気持ちで写真を撮っていってもらえるように」と、鈴木もスタッフも、浴衣にひょっとこのお面をつけてお客さまを撮影させていただきました。
「写真館で写真を撮る」というのは、ちょっぴり気合もいるし、撮られ慣れない大きなカメラの前で緊張もしてしまうもの。「いつだって、お客さまにお祭りのように気軽に楽しい時間を過ごしてほしい」という想いを込めて、どこへ出張するときも、そこを「お祭り化」にすることにしました。
「はじまりの狼煙」
街で並んだ提灯を見かけると、あ、お祭りなんだ、と思いますよね? それなら仰々しい看板よりも、やっぱりサインは提灯がいい。ここでお祭りが始まりますよ、と提灯きっかけにスタッフもお客様も集います。
自分たちがどこへ行っても、お客さまがどこからいらっしゃっても、一目でその合図と分かるように、企業から立て続けに写真館の開催を依頼されたこともあり、2017年から導入した提灯は手張りの和紙に職人さんの手書きの文字。あんまりにジャンボサイズのため、店舗ではお目見えしませんが出張ではすっかりおなじみです。
「お揃い」は御神輿の担ぎ手の証
同時にオリジナル半纏も導入。実はアーティストの村上隆さんが主催していたGEISAIのスタッフユニフォームがきっかけ。(GEISAIでこれを目にした鈴木があんまり気に入ってしまって、お手伝いさせて頂いたときに1着頂いたもの。)
こちらが下町の職人さんによる手染めの半纏だと知り、同じ職人さんにお願いして、鈴木心写真館オリジナルの半纏が完成しました。このとき、今ではすっかりおなじみになった「心」のロゴも誕生します。
半纏の裏の当て布は「鈴木心の名言手ぬぐい」。名言なのか、迷言なのか…諸説ありますが、鈴木心の写真のワークショップ生が聞いた、鈴木の奇怪な言葉が詰まっています。本人は「これがあれば、どこに出かけても良い写真がとれる。」と断言。ちゃっかり単体で商品化して販売していましたが、現在はぶっちぎりで品切れとなっています!
出張写真館は、歴代ワークショップ生や、行く先々の現地の方々と、毎回その日限りのスタッフが集まる場所。息を合わせて「写真館」御神輿を担ぐわたしたちの半纏と提灯は、お迎えするお客さまと一緒にお祭りを楽しむ気持ちを共有している目印なのです。
「おうちに帰ってからも」
出張の頃から「お渡しした写真をすぐに飾っていただけるように」と作った紙のフレーム。左上に小さく箔押しされた提灯マークは、お祭りの空気も一緒に持ち帰ってもらうためのひと工夫。
見返すたびに、あのときを思い出して、笑顔になってもらえたら。今の写真館では、木製フレームの裏に鈴木が描くイラストと一言に、そんな想いが受け継がれています。
「提灯と半纏の歴史は、写真館の歴史」
店舗のオープンに合わせて刊行された『写真館のあゆみ』の装丁を担当したのは、ロゴや手ぬぐいのほか、『写真がうまくなっちゃう7のこと』などのデザインを担当している古谷萌さん。2017年松陰神社前に出店と同時にこの7年の写真館の歴史をまとめた本「写真館のあゆみ」も、その表紙と中面で半纏を羽織っています。
「そしてたどり着く、はじまりの場所」
写真館がもう一つ出張していた郡山のお祭りに安積国造神社主催の秋祭りもがあります。安積国造神社の55代宮司の三男、安積艮斎は朱子学者として江戸で私塾を開き、お弟子さん達は、江戸時代が終わりを迎える動乱期に明治維新の中心人物として活躍しました。そのお弟子さんの中のお一人が、松陰神社で学問の神として祀られている吉田松陰先生なのです。
鈴木の生まれの地、郡山のお祭りから、松陰神社の前まで辿り着いた今世は写真館維新!? 出張時代も店舗時代も変わらないの「お客さまと、楽しいお祭りの時間を」の想いと、提灯くぐって半纏を羽織るたびの楽しい気持ち。歴史とのご縁を感じる場所で「楽しみながら学ぶ。」と気持ち新たに帯を締めるのでした。
写真を撮られるのが苦手なすべての方へ。世界に唯一の、お祭りぐらい心踊る鈴木心写真館に是非是非、ご来場ください。わっしょい!(記事:湯本愛 写真:鈴木心写真館)