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最高の音を求めて、自然に戻る旅

親の影響もあり、音楽を再生する環境に意識が向いたのは小学生の頃からだったと思う。

そのあと、自分なりにこだわりの一品を探してきたなかで、ソニーのみなさんと仕事をして、それぞれの自宅オーディオを聞かせていただき、そのおすすめを片っ端から、購入。オーディオ屋さんの協力もあって、いろんなものを試させていただくことができた。

音楽との出会いとオーディオの追求

そんなオーディオ界隈のなかでもレジェンド的なジャズ喫茶、一関のベイシー。ぜひ、あそこに、と言われて、翌日飛んで行った。蔵のなかで1杯1,000円のコーヒーを味わいながら、スピーカー向きの座席に腰をかける。

目を開けていると、まるで大仏のようなJBLのスピーカーと音圧に圧倒される。そんなに見回るような場所でもない。時間とともに目を閉じてみる。そうすると不思議なことに、目の前でジャズメン達が演奏しているかのようなリアリティがあった。これか、これが、ここのオーディオでの表現なのだ。そこに音ではなく、バンドを再生する。左右2チャンネルが立体的な音像になるのだ。

これは、、、、、、小学生の頃、ほぼむりやり、、、このベイシーに父に連れられてきたことがある。エルビンジョーンズのライブ、ドラムを演奏していた父は、開店前から並び、真ん前の席を確保した。ぽかんとそれを眺めておわり、闇夜のなか、また福島に帰る。父が勝手に録音したその演奏を聴きながら。

あのとき、目の前でエルビンジョーンズがズドンと打ったスネアドラム、バスドラムあの迫力が、ベイシーの音像にはあった。そうか、こういうことだったのか、と。

自然の音が教える「本物の響き」

九十九里に撮影に行ったときには、180度に広がる海岸から響いてくる波の音、耳にあたる風のおと、その広がりにとんでもない贅沢さを感じる。山にいったときには、奥から聞こえてくる、鳥の鳴き声から感じる空間の立体感、そして森のざわめき。これはどんなスピーカーでも再生することはできない。

音は情報であり、体験でもある。それはいまあなたがいる環境でも同じことが言える。僕たちは無意識に耳からさまざまな情報を受け取っている、それに無知だと、とんかつソースやタルタルソースをかけ始め、いずれはチーズを入れて、砂糖を入れて、どんどん味に麻痺していくのだ。

無意識の中で感じる音の価値

そう気づいたぼくは、いつも仕事しながらかけていた音楽をやめた。聴くときは聴く、聴かないときは聴かない。いずれも脳の処理は無駄遣いしてしまう。

であれば、音楽を再生しなくとも、聞こえてくるこのリッチな環境音に、美しさを感じられるようになろう。いや、いつのまにかなってしまい、家では350万円のオーディオが、出番はまだかい? といつも問いかけてくる。

(写真・文:鈴木心)


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(編集:山田友佳里)

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