本日の鈴木心写真館:「わからなさを超えて」の巻
お客さまが、撮影の日をとても楽しみにご来店してくださっていることが伝わってくるときこそ、「ここでしか撮れない」「鈴木心写真館、らしい写真」ということを考え始めたら、少し肩に力が入ってしまう。けれど、撮影のときにまずわたしたちが見つめるのは、自分たちが撮る写真ではなく、お客さま自身の姿です。
ご近所にお住まいのこちらのご家族、これからお引越しの予定があり、松陰神社前を離れる前に、ここで記念写真が撮りたい、とロケのご希望でした。台風が近づいてきて、お客様の延期も相次いだこの日、幸運なことにまだ雨も降り始める前に撮影がはじまりました。
離れてみたり、手を繋いでみたり、いろいろやってみた結果、選ばれたのが、この記事の最初の1枚。たぶん、これも、何かが起こる少し前。このときわたしたちは少し距離をとって撮影していたけれど、この写真を見ると、3人の時間の中に、聞こえなかった声を想像してしまいます。
にじんだ緑越しの姿のように、目の前にお客さまは確かにいるのに、お客さまが過ごしてきた時間には、決して触ることができないわたしたち。そんな積み重ねの対岸に、自分たちが立っていることを、忘れたくないと思うのです。
どんな写真が生まれるか、最後の瞬間までわからないのは、撮るわたしたち、撮られるお客さま、どちらにとっても同じです。わからないままに、この場所を選び、選ばれたから、出会えたこと。特に、直接シャッターを押すわけではないスタッフのわたしは、「どんな写真を撮るか」よりも、「どんな時間を一緒に過ごすか」を、考えているような気がします。
そんな時間の最後に、お客さまが「自分たちらしい」と言って喜んでくれるとき。写真をしみじみ見つめてみるに、それこそがつまり、「鈴木心写真館らしい」写真でもあるような気がするのです。
帰る頃には、雨が降り始めてしまったけれど。ちょっぴりシャイだったひまわりちゃんも、クールで言葉少なだったたいようくんも、お母さんと一緒に、かわりばんこに振り返っては、手を振ってくれていました。
実はこの撮影の1ヶ月後、松陰神社前で開催されていた大きなお祭りの日、ご家族揃って写真館の前を通りががって声をかけてくださいました。その日の別れ際も、同じように、何度も交互に振り返っては手を振ってくれる姿が、とても印象的で。
お互いに、わからないことだらけで始まる、わたしたち。だけど、それでも。たかが1時間、されど1時間、一緒に過ごす短い時間の意味を教えてくれた、あの後ろ姿。お引越しするまで、いや、お引越ししたあとも! いつでも通りがかっては、また声をかけてくださいね。(記事:湯本愛 写真:齋藤さおり)
※鈴木心の手による実際の写真を、鈴木心写真館のInstagramで展開中。気になる方は、下記からご覧いただけます。
11、12月のご予約可能日は、以下の通りです。(※10/31現在)
11/10(土)、17(土)、18(日)
12/8(土)、9(日)
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