見出し画像

写真がうまくなっちゃうルーティンワーク

鈴木心の写真学校、鈴木心オンラインサロンの運営担当、山田です!
私たちが写真の上達のために大切にしていること。
それは

「読む→撮る→見せる」のサイクル。

多くの人の心を動かす良質な写真作品を見て、その技や表現を真似しながら自分の環境で撮ってみる。
撮った写真は誰かに見せて、撮影意図と反応に差異を知る。鈴木心のワークショップやオンラインサロンSKOOLのコンテンツは、このサイクルをベースに組み立てています。

なかでも「読む」場になっているのが、SKOOLで毎週日曜に投稿されている「写真を読む」連載。リレー形式で、バトンを渡された方が毎回1冊の写真集を読み、作家のこと、作品のこと、そして技術のことについて紹介していきます。SKOOLのコンテンツの詳細についてはこちらの記事で!

今回は、鈴木心の写真がうまくなっちゃうワークショップ(通称「写うま」)に参加中の小林崇人さんの投稿を。

1、写真家を読む

写うま2期オンラインクラスに参加中の小林と申します。私からは、上田義彦(うえだよしひこ)さんの『68TH STREET』をご紹介します。

私は全く存じ上げなかったのですが、調べるとどうやら写真業界のレジェンドの方でした。SKOOLのみなさんなら一度は名前を聞かれたことがあるかもしれません。改めてプロフィールを紹介すると、1957年兵庫県生まれ。1979年に大阪の学校を卒業し、81年まで福田匡伸さん、有田泰而さんに師事。

この2名の師匠の写真家の名前も当然今回まで知らなかったのですが、福田さんのもとでスタジオ撮影を学ばれ、その際目にした有田さんのポートレートに衝撃を受け、弟子入りされたようです。詳しくはこちらの記事に載っています。なかなか熱いインタビューでした。

SKOOLへの小林さんの投稿より

2、作品を読む

その後82年に独立し、企業広告の世界で活躍され、受賞歴多数。個人的にもサントリーの伊右衛門のCMはリアルタイムで見た記憶があります。

広告と並行して写真家としても活動され、数多くの写真集を出版されています。絶版の古書が多く、Webサイトで見本写真を眺めるのが精一杯ですが、それだけでも写真のオーラがビシビシ伝わってきます。

特に花を撮った『FLOWERS』のライティングが印象的で、写真なのか絵画なのか一見分からないような表現をされています。この感じ好きだなぁと素直に思いました。

SKOOLへの小林さんの投稿より
上田義彦『68TH STREET』書影、 撮影 小林さん

3、写真技術を読む

閑話休題、今回の作品紹介と読解に移ります。本作品はNYのアパートの一室で北側の窓から差し込む光と白い紙が作る風景をモノクロで記録したものです。北側の窓からなぜ光が差し込むかというと、隣のビルの窓に反射した光が1日の間の3時間程度、いい具合にこの部屋に差し込んでくるのだそうです。

焦点距離は標準域、ボケ具合からF値は明るめ2.0~2.8くらいと推測しました。シャッタースピードは手持ちでブレない1/60〜1/100程度でしょうか。

写真集の前書きにも書かれていますが、部屋の中でうつろいゆく光と影を見て上田さんは自分が地球という大きな乗り物に乗っている感覚を覚えると同時に光と影が踊る劇場にいる気分になったそうです。

SKOOLへの小林さんの投稿より

小さな部屋の床、1日のたった3時間、白い紙とその影、という極めてミニマルなセッティングですが、影の動き、影の階調から意識を部屋の外、雲、空、天体運動まで拡張できるのは写真家ならではの感性だと感じました。

そしてそのミニマルさを表現するためにモノクロを選択するのは至極当然だったのでしょう。ちなみにタイトルにもなっているニューヨークの68th streetをGoogleマップで調べるとマンハッタンのど真ん中、地球上でも有数のスーパー大都会です。写真の持つ静謐さと写真が撮られたロケーションの喧騒の対比もある意味「光と影」だなぁと感じます。

SKOOLへの小林さんの投稿より
上田義彦『68TH STREET』より


4、自分の言葉で伝える

上田さんがこの写真を撮りながら地球の動きを感じた一方、私にはこの写真が鉛筆でスケッチをした静物画のように見え、静謐さや永遠性を強く感じました。

光と物体さえあれば成立する影という現象はこの宇宙がある限り続く物理現象であり、観客がいようがいまいが続く無限の演劇みたいだなぁと考えると、宇宙とは、自己とは、といった実存的な思考に迷い込みそうになってしまいました。静謐とか言いながら思考がここまで拡張するのでやっぱり動的、というよりアート、と表現するにふさわしい写真なのでしょう。

極めて単純な被写体であるがゆえに想像を膨らませやすい写真集ですし、単純にこの写真集が家にあるとなんかおしゃれでかっこいい感じがしませんか?笑

SKOOLへの小林さんの投稿より

私たちのワークショップやサロンではよく写真集を参考書にしますが、決して安い買い物ではありません。5,000円前後から、高いものだと数万円にもなり、一人で一気に何冊も購入することは現実的ではないでしょう。

だからこそ、メンバー同士でシェアしあい、良質なものにふれる機会をできるだけ増やす。自分の言葉で伝えることで、自分の理解を深める。それがこのSKOOLです。

一緒にいい写真、いいものにふれていきませんか? ここは写真をとおした総合学習の場です。学生の方は学割をご利用ください。

写真家の作品に学ぶ、「撮影スタイルワークショップ」始まる!

このように著名な写真作品を読み、トレースしながら自分の表現に落とし込んでいく「撮影スタイルワークショップ」も6月上旬から開講! 1期は川内倫子さん藤代冥砂さん、スティーブン・ショアさんの写真集を参考に、オールドレンズの選び方、使い方から撮影、レタッチでの現像仕上げまでを学びます。

撮影スタイルワークショップ
〜オールドレンズとレタッチで拡張する写真表現〜

開催日程

・6/10(金)20:00〜21:30 合同オリエンテーション
・オフラインクラス 6/12(日)〜隔週日曜 全4回 9:00〜12:00
・オンラインクラス 6/15(日)〜隔週水曜 全4回 20:00〜22:00

定員
15名(最少催行人数 7名)

受講料
88,000円(税込)

カリキュラム
・川内倫子氏『うたたね』にスナップ写真を学ぶ
・スティーブン・ショア氏『Uncommon Places』に風景写真を学ぶ
・藤代冥砂氏『太陽とハチミツ』にポートレート写真を学ぶ
・オリジナル写真集をつくる

★参加者限定特典★
・アーカイブ映像を各回終了後2週間視聴していただけます。
・鈴木心ワークショップとのオンラインサロンに初めて参加される方は、オンラインサロンを受講終了まで無料でお試しいただけます。

直伝のオフラインクラス、遠方でも学べるオンラインクラス。毎回どちらも熱く学び合っています! みなさまのご参加、お待ちしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?