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フイルム写真よ、さようなら#6「コミケ写真のひみつ」

お陰様で3万5千リツイートを頂いた、コミケの動画。これはコミックマーケット準備会からの特別な許可を頂いて撮影したものなのです。

鈴木心写真館は縁あって、2013年の冬よりコミックマーケット公認の記録写真撮影を行なっています。その一部が先日の俯瞰映像だったのです。コミケ終了後の準備会のツイートで使用される写真も同様です。

今回は、これらの写真がどのように撮影されているかをご紹介したいと思います!(今回は技術のお話で、なぜこういう写真を撮るのかは、またの機会に!)まずは3つの高いこだわりから。

1、高所
2、高解像度
3、高度な撮影技術

1、高所|特権的な視点

見晴らしの良い場所は歴史的に権力者に牛耳られている視点でした。それは同時に状況を良く理解できる場所だからです。高所から視点からの撮影は日常を非日常化する得意な写真になります。(写真は一般参賀)

2、高解像度

デジタルカメラの撮影なので撮影時には限りなく高解像度のカメラを使用します。プロ用の中判デジタルカメラの場合1億画素あり、解像度ではフイルムを凌駕する画像を得る事ができます。

これは上の写真を100%に拡大したものです。奥のテントの「TIME TABLE」という文字まで視認することができます。これが現代の解像感。(写真はロッキンオンジャパンフェスティバルより、使用デジタルバックはIQ180、8000万画素)

3、高度な撮影技術

上記2つの条件を生かせると一枚の写真に情報を詰め込むことができるので、カメラオペレーションでも最大限に条件を生かす手法を取ります。

3-1、高所から、のひみつ

コミケ会場であるビッグサイトにはキャットウォークと呼ばれる高所作業用の通路があります。(下写真の赤枠)

しかし、屋外の駐車場では必ずしもこのような場所があるわけではないので、自力で高さを確保しなければいけません。それが一脚(と脚立)を用いたアナログな撮影方法です。

この撮影方法では、ファインダーを覗く事もディスプレイを見る事もできません。パソコンとつなぎテザー撮影もできますが、機動力に欠けるのであらかじめテスト撮影によりカメラの傾きを確認しておき、水準器を一脚自体に付けて傾かないように撮影します。

レリーズにはリモコンを使います。使用カメラによってはレリーズを優先で延長してシャッターを切ります。(今回はソニーA7RIII、と専用リモコン)

ソニーのスマホアプリ、プレイメモリーズでは遠隔のライブプレビューが行えますが、コミケ会場では電波が混線しているため使うことができません。さらにタイムラグがあるのでカメラ、被写体、モニター、三つの因子を確認すると意識が散漫になってしまいます。

3-2、パンフォーカス、パノラマ

一連の撮影は様々な場所での撮影があるので、必ずしセンサーのフォーマット比率(2:3や4:5など)に適合する風景ではないので、その場所に応じたパノラマ合成する事で、適正の比率に書き出しています。

一見一枚に見える写真ですが、撮影は9枚の写真で校正されています。

これをphotoshopのphotomergeという自動処理で合成します。

撮影時に中心と画像それぞれが重複部分が収められていると綺麗に合成することができます。これをファインダーを覗かず、かつ一脚の上で行うことが求められるのです。

ボケは情報を曖昧にしてしまいます。ゆえに、撮影は絞りの一切のボケを排除したF16以上のパンフォーカスで行います。画面の隅々まで細部が写っています。

こちらはビッグサイト東駐車場の朝の待機列。撮りっぱなしの画像。

一番奥の建物や、トラックの文字まで読むことができます。これはフォーカスが深く、さらにブレていないからです。

被写界深度を深くするとセンサーに当たる光が少なくなるので、ノイズがすくない低感度撮影で光の量を補うためにシャッタスピードは遅くなります。つまり一脚撮影であっても8000万画素カメラでブレがみえないくらいの安定を保持しなければいけません。

ちなみに、8000万画素の画像を3枚パノラマ撮影しステッチすると、約3倍のデータ容量になります。ざっくりですが、2億4万画素と言ってもよいのかもしれません。

さて、いかがでしたでしょうか?カメラが便利になる中で、ただ構えて、シャッターボタンを押すだけが写真ではありません。デジタル機材になったからこその方法や、アングルを獲得することができるのです。

1、特権的なアングル、被写体
2、フイルムを凌駕する高解像度のカメラ
3、上記を活かす高度な撮影技術

こういう写真、撮れないかなぁ。という想像は必ず実現できる時代になりました。その階段を上がるも上がらないもあなた次第です。なにも夕焼けや可愛い女の子がすべてじゃない。まだまだ、だれも見たことのない写真を撮れる可能性は多分にあります。是非みなさんも写真を通じて、自分の価値観を超えて行く面白さを知っていただければと思います!

今回は技術論でしたが、いつか、なんでこのような写真を撮るのかをお話できる機会がくればいいなぁと思っております。では引き続き!

今回お披露目した参考写真はすべて制作途中のものですので、色味、明るさ、そしてトリミングなどは仮の状態です。

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