見出し画像

写真館は、写真家の未来か。

「写真館は写真家の未来か
戦後、交通広告媒体やテレビ、新聞普及によって根付いた「広告産業」。その中の一部を担う写真や動画の製作は経済や技術革新の影響を受ける下請け業の一つです。この数年紙媒体の電子化や動画広告が主力になり、雑誌をふくむ、広告写真業は絶望的な時代に突入しました。

「お客様を見極める」
フォトグラファーにとってのクライアントは、
・製作を行うデザイナー、ディレクター
・媒体の照会する広告代理店
・出資元であるスポンサー(企業) そして、
・その広告を見ていただくユーザー(消費者)です。

さらに撮影する被写体(モデル、タレント)、あるいはヘアメイクやスタイリスト(衣装)、美術、小道具など様々なスタッフが参加し、クライアント含めて、全員で感動するものを作ることが僕らの仕事です。

「大きな船の欠点」
組織が大きくなれば、予算も大きくなりますが、同時に意思の疎通、決定、予算、時間の分配、の機動力が著しく低下します。昨今、失敗しないように、安全なアイディアな進行がより強調され「おもしろさ」や「インパクト」ない安全な広告が増加しました。これはエンドユーザーからのリアクションも影響しています。

「手漕ぎのボートで」
2011年、震災を機に、自身が下請けである身にも危機感を覚え写真を用いた活路を模索しました。アートでもなく、作家でもなく。写真のワークショップ、写真館の活動です。お客様は個人。これが明快であることが重要な要素でした。

「小さくていい」
植物も動物も最初は小さい。それは写真館も同じです。新しい活動なのだから、一つ一つを丁寧に進めても失敗する。失敗で学び枝葉を伸ばしていく。撮影でも運営でも沢山の問題がありました。他のノウハウにハメずに、焦らず解決すること。確実に増える需要にゆっくり順応してきました。あらゆる生命がそうであるように。

「学びの循環」
出張写真館のスタッフは、鈴木心の写真のワークショップの参加者です。ワークショップで心がけていることは、技術的な学びで終わらないこと。写真は選択する道具。能動的に考える。「なぜ?」と疑問をもち「何故ならば」という理由を考察し「どうせなら」とより良い案を提案できる。写真を通じての学びが写真館を育んできました。

「写真のアトラクション」
2013年からは企業に写真館の開催を要請されることが増えてきました。新聞で、イベントで、写真展で、写真館のノウハウとお客様の満足度に直結する結果は本当の写真の力を体験するアトラクションなのです。

「5年間で82回、15000人」
撮影時間は70秒。全行程で15分。1日最大で200組を超える撮影を行える自称モンスター写真館です。撮影技術とコミュニケーションスキルだけではなく、そのすべてのお客様に別々のダウンロードURLとQRコードを発行し、撮影後すぐに写真をダウンロードできる。と同時にプリントもお渡し。この独自のワークフローは唯一無二。これも毎回スタッフで話し合い、構築してきた自慢のインフラです。

「満を持して」
2017年、松陰神社前に鈴木心写真館を開業しました。内装もなにも手をつけず、いまだに出張の雰囲気のままの佇まいです。大丈夫。写真は本物ですから。開業にあたり他の写真館を見渡して見ると値段表に不思議な表記が。「商品代」と呼ばれる、プリント、データ、台紙やアルバム。衣装も含めた法外な金額に私たちは驚きました。

「適正価格」
鈴木心写真館では1枠1時間のご予約に料金を設けています。その中に額もプリントもデータも一式は込み。僕らの「商品」は「体験」です。テーマパークのアトラクションと同じです。そのおまけにアトラクションの記念品として写真をプレゼントしています。もし追加で記念品が必要な場合は適宜お作りします。ご家庭で飾ってほしいから。ご安心ください。額もプリントもどの写真館よりも高品質で低価格です。

「全員が写真のプロフェッショナル」
予約制だからこそ無駄なアイドリングコストを下げれる。既製品だから安く資材を仕入れられる。スタッフは鈴木と共に写真の最前線にいるプロフェッショナル。フォトグラファー、スタジオマンがみなさまのサポートをします。これも唯一無二。ちょいとカメラをつかえるアルバイトさん、写真作家も知らないカメラマンさんとは文脈が違います。写真が好きで好きでしょうがない。そんな仲間たちです。

「無理難題、大歓迎」
僕らは撮影コースを設けていません。オンラインの自動予約も。なぜなら、予約を頂く1時間はお客様が主役だから、どんなご要望にも極力お答えしたいのです。桜を背にして、愛犬愛猫と、仕事用のプロフィール写真から遺影まで、どんな要望も叶えられる自信があります。だから、まず電話で、メールでご要望をお知らせ下さい。

松陰神社の鈴木心写真館では、12月の開店以来146組の予約のお客様と、61組のイベント参加のお客様、合わせて207組の撮影をさせていただきました。その間にも多様なお客様のご要望に答えてきたと自負しております。が、まだまだこれから。

と、うっかり現在発売中の書籍「鈴木心写真館のあゆみ」を宣伝しようと書き始めたのですが、写真館のいままでを冗長に綴ってしまいました。もし鈴木心写真館の運営や経営にご興味を持たれた方はぜひ、書籍「鈴木心写真館のあゆみ」をご覧いただければと思います。本日5月20日までは新刊「鈴木心の撮影ノート」発売記念で40%オフです。ぜひこの機会に。

「写真館もお客様です。」
余談ですが、本書付録ページには鈴木心の実家の様子が掲載されております。いま思い出してみると、実家にはいつも家族写真が並んでいる環境でした。だからこそ、お客様には撮影したその場で写真をお持ち帰り頂くことにこだわっているのかもしれません。写真の完成は早くて悪いことは何もありませんから。

では、写真館でみなさまにお会いできることをスタッフ一同楽しみにしております。また、鈴木心写真家運営のノウハウにご興味おありの方、全国の写真館の方は、ご不明点がありましたらお気軽にご連絡ください。僕らにとって写真館にお役に立てることが、より多くの写真館にいらっしゃるお客様の喜びに繋がると考えています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?