運命のカメラを見つけるには
空の写真って見るのが苦手な一方で、実はついつい撮っちゃう。
なんでだろうか。心象風景なんて言葉があるんですが、空に心をメタファーするような、間接的なエモい写真が苦手で、だれそれ問わず、とりあえず、見たくない。
いや、ただただ綺麗だから、っていうのもわかるし、壮大だとか、宇宙だ、とか、まぁ言い方変えりゃあなんとでもなるけど。
一方で、じゃあ自分はなんで撮るんだっていうかって。
うーん、シンプルに、写真にあってるよね。
写真は光を写す道具だけれど、その記録は明るいところから暗いところまでの階調の記録でもある。カメラによってそのレンジ(を、ダイナミックレンジやラチチュードと呼ぶ)が、さまざまだから、まずは、逆光で空撮ってみると、どのくらいのレンジがあるのか手にとるようにわかる。
そうやって、カメラのスペックと対話を繰り返して、ようやく、本当の付き合いになってくる。この段階でつまらないカメラ、っていうのは、そつないやつ。優しくって、お金があって、そんなカメラは、逆光当てても、そつない。わけで。
いかに現実で感じたあの感覚を、データとして再現してくれるか、というのは、いわゆる正確な再現性とは無縁であっていい。
「うぉ」
と現場で感じたあの感覚を再現してくれる、そんな感覚の追体験を、手早くやってくれる、そんな都合のいい関係がいい。向こうも、こんな感じでいいっしょ?てかるーく、渡してくれる。いまはそんなカメラに恵まれている。
だから、とりあえず、なんでも撮ってみる。付き合いたてのときに、いろんな場所に出かけてみるように。
どこでも一緒に出かけたくなるような、まるで気の合う友達みたいなやつ。それがLeica M9。このまま間合いを詰めると、飽きちゃうかもしれないけど、いまのところ、この子を超えるデジカメは、最新でも、最古でも僕は知らない。
空冷ポルシェのような、いやもっと使いやすい。水冷の初期、あ、996か(持ってる)。そうやって、段々と新しいものではなく、時代の中から、最善のパートナーを導き出していくものなのかもしれない。
欲しい服もないし、車もない。いや、減っていくように、カメラももうその終焉をむかえているのかもしれない。
え?
よくいうと、運命のパートナー、が見つかったのかもしれない。
と、とりあえず、今は思っておこう。
信じてはいないけど。
どんなカメラでも、伝えたいことはひとつ。
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本記事は、鈴木心写真学校のオンラインサロンで鈴木心が書きおろしているコラムを一部転載しています。オンラインサロンにご加入いただくとすべての投稿を最新・最速でご覧いただけます。
(編集・高橋慈郎、山田友佳里)
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