見出し画像

良い写真と、どこで出会いますか?

多くのクリエイターが毎日作品を投稿されているnote。リアクションの多さは良い作品であることを示す指標の一つですが、より良い作品を生み出すには?

良い作品を体験すること、そして真似ること。

今回は、2023年に熊本で開催した鈴木心写真館&写真教室のイベントに来てくださった大園英史さんによる体験レポート。私たちにも大切なことを教えてくださいました。

下段2人目が大園さん。写真館にもプロフィール写真を撮りに来てくださいました。

現場を体験して、3ヶ月のワークショップへ。

大園です。今回のレポートは、オフラインとオンラインのワークショップ参加をギュッとレポートにしているので長文で恐縮ですが、読んでいただけたましたら!

オフラインで受講した写真教室は、3ヶ月の撮影ワークショップ「鈴木心の写真がうまくなっちゃうワークショップ|ベーシック」1限をまるっと体験できる内容。実習は「距離だけが違う3枚の写真を使って3コマ漫画をつくる」というものでした。

人の眼の動きや、ものを認識するうえでの習性を撮影時に意識してみると伝わりやすくなる。自分が見たり感じたりしたことを、そのままカメラに伝える練習です。

心さんとティーチング・アシスタントの方々からは次のようなポイントでアドバイスをいただきました。  

  • 面で捉えるのではなく、最も見せたい一点を決めること

  • 水平・垂直・正面を確認してから撮ること

  • 3枚組み合わせるときの近・中・遠距離は、距離を大きく変えると伝わる情報量が変わり、展開にメリハリがつく

  • 同じ現場で撮影しているからこそわかる、一人一人の視点の差異(気づき・見せ方・タイトルの付け方)等

講義を受けて頭では理解したつもりでも、実際に撮影してみるとなかなか上手くいかない。写うまベーシックが始まる前にオフラインで学ぶことで、スムーズに課題に取り組むことができました。

水平・垂直を意識するだけで写真がグッとうまくなる

写真教室で学んだことの先へ進むべく、写うまベーシックへ。前半は撮影の基礎技術を磨くことを目標に、徹底して(見せたい被写体に対する)水平・垂直・正面を意識し取り組みました!

特に3限目では心さんの写真集『写真』を参考に、構図の整理を意識して模写しつづけました。さらに、光の使い方などあらゆる技量が詰め込まれているから、基礎を叩き込むにはもってこい。ご本人からレビューをいただけるのも貴重な経験でした。

一人でできないときこそ、進化のチャンス

修了制作では参考にする写真集を1冊選び、自らの写真集を1冊つくります。私はルイス・ボルツさんの作品を選び、制作に取りかかりました。しかし発表会の一週間前になっても、自分らしさやその場所で撮影する意味、見る側にとっての面白さが出ていないことに悩んでいました。 

そこで、同じ写真家を選んだ修了生の方に相談してみると、ルイス・ボルツさんの解釈が誤っていることが判明。テーマ・思想・撮影技法を改めてインプットし、仮説を立てて方向性を決めると被写体に対する見方も変わり撮影はスムーズになりました。

写真:大園英史さん

ボルツの代表作は、自然破壊をテーマにした風景写真。郊外で人工物が自然に押しやられるさまを捉えています。

私の住む地域は、昔はそれなりに栄えていましたが、現在は少子高齢化・人口減少に課題がある。それを現代版として、自分の暮らす地で自然が人工物に押しやられる姿をボルツが撮影するのではと思って作品にしました。

写真:大園英史さん
写真家の眼でみると、見慣れた日常に気づきが。

さらにティーチング・アシスタントさんにはレタッチ講座を開いていただき、作品を仕上げる際にも色・濃淡についての言語化をもとにレタッチしていくとうまくいきやすいと教えていただきました。何を伝えたいか、何を表現したいかがはっきりしたことで、無事修了作品を完成させることができたのでした。

恐らく一人だと成し遂げられなかったですし、同じ志を持つ仲間が鈴木心写真学校にはたくさんいるからこそ、やりきった達成感と自信を持つことができたと思います。

自分らしく撮るって、どういうこと?

受講中は写真集も貸していただき、良質な写真に出会うこともできました!心にのこった1冊を上げるとしたら、深瀬昌久さんの写真集『Afterword』 です。

さて、ここで『猫の麦わら帽子』(1970年、文化出版局刊)という、深瀬が自身の飼い猫であるサスケとモモエを写した写真集の後書きを抜粋したい。 
 「私はみめうるわしい可愛い猫でなく、猫の瞳に私を映しながら、その愛おしさを撮りたかった。だからこの写真集は、サスケとモモエの姿を借りた『自写像』と 言えるかもしれない」 

この自己解説からは深瀬と猫との関係性、あるいは彼の被写体に対する姿勢が象徴的に読み取れる。(省略)それらに彼自身がのめり込む余り、写真となったときにはすっかり深瀬昌久その人として仕上がっていた。だからサスケの奔放な行動やあどけない表情とはやはり、他でもない深瀬自身なのだ。

深瀬昌久 写真集『Afterword』のトモ・コスガ氏の後書きより抜粋

トモさんは結びで「深瀬昌久にとっての百点満点の自写像である」と締めくくっています。まさしくこれだと感じました。

出張鈴木心写真館 in 熊本でのプロフィール撮影、写うまベーシック受講、その後の出張鈴木心写真館 in 鹿児島でのお手伝いでの経験も繋がった瞬間。撮影するうえで、ポートレートに限らず被写体に対しての向き合う姿勢が大事だと、さまざまな確度から理解できました。かなり時間がかかってしまったのかもしれませんが。

自分らしさを真っ先に求めるのではなく、撮影する被写体に向き合う姿勢。同じ被写体でもどういう向き合い方をして撮影したかで写真が違ってくる、その眼差しこそが自分らしさなんだと。

次の目標は、ライティングとコミュニケーションをもっと学んで、周りの人を表情豊かに撮れるようになること。そして、いつまでも部屋に飾ってもらえる写真を撮影できるようになりたいです。

鈴木心写真学校のワークショップ

写真教室は、鈴木心写真館の全国ツアーとともに各地で開催しております!最新情報はPeatixイベント一覧にて。

(編集:山田友佳里)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?